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薬効薬理
作用機序15-21)
15) 日本造血細胞移植学会 造血細胞移植ガイドラインSOS/TA-TMA(平成29年9月11日発行)
16) 菊田敦、藥師神公和. 日本造血細胞移植学会雑誌. 2016;5:124-137.
17) Palomo M, et al., Biol Blood Marrow Transplant. 2011;18:497-506.
18) Zhou Q, et al., Thromb Haemost. 1994;71:507-510.
19) 朝倉英策編. 臨床に直結する血栓止血学改訂第2版. 中外医学社. 2018.
20) 血管内皮細胞に対する影響(承認年月日:2019年6月18日、CTD 2.6.2.2.1)
21) 凝固・線溶系に対する影響(承認年月日:2019年6月18日、CTD 2.6.2.2.2)
デフィブロチドナトリウムの作用機序は明確ではない。
血管内皮細胞を用いたin vitro試験において、デフィブロチドナトリウムは血清飢餓による血管内皮細胞障害並びにフルダラビン及びサリドマイドによる薬物誘発性アポトーシスを抑制した(血管内皮細胞保護作用)。本剤は、プラスミン活性の増強作用、組織因子の発現抑制及び組織因子を介した凝固活性の抑制作用、トロンボモジュリンの発現促進作用、フォン・ヴィルブランド因子の抑制作用、組織因子経路インヒビターの遊離促進作用を有することから、凝固・線溶系の各種因子に影響することで血管内皮細胞の保護に寄与すると推察される。
肝類洞閉塞症候群の病態には多くの因子が複雑に絡んでいる。多くの場合、造血幹細胞移植前の骨髄破壊的前処置(大量化学療法、全身放射線照射等)等により、肝類洞内皮細胞が障害され、肝類洞内皮の剥離、狭小化、血流停滞が起こり、非血栓性閉塞が引き起こされる。これに引き続き、局所における線溶系低下とともに凝固能亢進状態となり、血栓形成や線維化の進行により肝類洞内の閉塞、門脈圧亢進が引き起こされる。その結果として、肝細胞の障害・壊死がもたらされ、最終的に多臓器不全から死亡に至る場合もある。
デフィブロチドナトリウムは肝類洞内皮細胞の障害や血栓形成を抑制することで、肝類洞の狭小化や線維化を伴うSOSの悪化に対する抑制効果を示すと考えられる。
in vitro試験で確認されている血管内皮細胞におけるデフィブロチドナトリウムの影響
デフィブロチド ナトリウムの影響 |
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---|---|---|
アポトーシス | 血清飢餓による細胞障害 | 抑制 |
フルダラビン誘発アポトーシス | 抑制 | |
フルダラビン誘発アポトーシスにおける活性型カスパーゼ-3 | 増加抑制 | |
サリドマイド誘発アポトーシス | 抑制 | |
線溶系 | サリドマイド処置下におけるt-PA | 低下抑制 |
サリドマイド処置下におけるPAI-1 | 増加抑制 | |
サリドマイド処置下でのプラスミン活性 | 低下抑制 | |
ヒト血漿由来プラスミン活性 | 増強 | |
凝固系 | フォン・ヴィルブランド因子(vWF) | 発現低下 |
トロンボモジュリン | 発現促進 |
血小板の凝集
凝固・線溶系(一部を抜粋)
非臨床薬理試験
血管内皮細胞に対する影響(in vitro)20)
20) 血管内皮細胞に対する影響(承認年月日:2019年6月18日、CTD 2.6.2.2.1)
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1|血清飢餓による細胞障害に対する作用
ヒト微小血管内皮細胞(HMEC)を血清非存在下で培養することにより生ずる細胞障害を、デフィブロチドナトリウムは150μg/mLの濃度で有意に抑制した(P<0.05、Student’s t-test(両側)、血清飢餓群との比較)。
血清飢餓(48時間)による細胞障害に対する作用
- 方法
- HMECを血清非存在下で24時間培養した後、デフィブロチドナトリウム(終濃度150μg/mL)を添加し、さらに血清非存在下で24時間培養し、HMECの細胞障害を3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide(MTT)法で測定した。
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2|フルダラビン誘発アポトーシスにおける活性型カスパーゼ-3及び関連因子の発現に対する作用
デフィブロチドナトリウムは、フルダラビンで誘発されるアポトーシスにおいて、アポトーシス経路で重要な役割を果たす活性型カスパーゼ-3の発現を抑制した。
フルダラビン誘発活性型カスパーゼ-3の発現に対する作用
- 方法
- HMECを①媒体(血清含有培養液、対照)、②デフィブロチドナトリウム(100μg/mL)、③フルダラビン(10μg/mL)、④デフィブロチドナトリウム(100μg/mL)とフルダラビン(10μg/mL)併用の4群で培養し、0、3、6、9、12、16、24、48及び60時間後の活性型カスパーゼ-3の発現をフローサイトメトリーを用いて測定した。
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