

症例①は、偶発的ではありますがCK高値からDMDを疑ったケースです。すぐに小児神経専門医に紹介することにより、確定診断につながりました。 症例②は、AST/ALT高値の原因はDMDであったケースです。最終的には3歳7ヵ月時に確定診断できましたので診断が大幅に遅れた訳ではありませんが、2歳0ヵ月時のAST/ALT高値のときにDMDを疑いCK値を測定することでより早くDMDの診断ができた可能性がありました。
DMD患者さんが適切なタイミングで診断されるために、血液検査でCKやAST/ALTの高値が認められたときには、DMDを疑い、小児神経や臨床遺伝専門医へ紹介することが重要であると考えます。







DMDが疑われる
血液検査の項目と検査値のめやす
項目 | 検査値 |
---|---|
AST | 100-300U/L程度 |
ALT | 100-300U/L程度 |
血清CK | 1万~数万U/L |
石垣景子, Prog. Med., 2020; 40: 1019-24
李 知子 ほか, 日本臨床 別冊骨格筋症候群(上).,
2015; 32: 15-20

- ●血清CKが持続的に高値を示すときにはDMDが疑われます。
- ●ASTやALTが高値の場合は肝疾患だけでなく筋疾患を考慮する必要があります。一般的に、筋疾患ではAST優位、肝疾患ではALT優位となるケースが多いですが、筋疾患でもALT優位な場合があります。その際には追加で血清CKを検査して精査することが重要です。

DMDの確定診断は遺伝学的検査が必要になります。遺伝学的検査の実施の際には遺伝カウンセリングを行うことが重要です。

Birnkrant DJ, et al., Lancet Neurol.
2018; 17: 251-67などを参考にして作図
- ※1 遺伝子診断を行う際は検査の前後で遺伝カウンセリングを実施することが重要です。
- ※2 MLPA法により単一エクソンのみの欠失と判定された場合には、結果が修飾されている可能性があるため、全エクソンシークエンス法または、該当するエクソンを挟んだPCR解析で微小変異の有無を確認する必要があります。
- ※3 BMD(Becker Muscular Dystrophy):ベッカー型筋ジストロフィー
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