

監修/川崎医科大学 検査診断学 病態解析部門
教授 通山 薫
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骨髄異形成症候群(MDS)および再生不良性貧血(AA)は一見明確に異なる概念であり典型例では鑑別に労することはありませんが、日常臨床の場では境界があいまいであったり、あるいは中間的な病像のために診断に苦慮するような症例が少なからず存在します。これらに対する治療内容は全く異なるため、鑑別が重要です。

MDSに見られる異形成所見
低形成MDSと再生不良性貧血の鑑別診断
陽性顆粒の多寡によって0~V型に分類され、100個の分類の総和がスコア化される。再生不良性貧血で好中球減少があると内因性G-CSF活性上昇を受けてNAPスコアは上昇するが、MDSの場合はときに好中球機能異常のためにNAPスコアが上昇しないことがあり、鑑別の一助となる。
本例では5番染色体長腕欠失、7番染色体モノソミー、多数の染色体のトリソミーやいくつかの構造異常を伴っている。とくに5番、7番の欠失性変化や複雑核型異常はMDSの診断と予後判定上重要である。再生不良性貧血でもときに染色体異常が検出されるが、上述したような重大な異常があればMDSと断定できる。

標本画像:監修者提供
良性骨髄不全症候群 vs 悪性クローン性MDS
Haematologica 2009;94:264-8, Int J Hematol 2013;97:558-63より作成
骨髄不全の良性・悪性鑑別フローチャート
臨床血液 2012;53:1492-9より改変
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