膠原病に伴う肺高血圧症の特徴や検査などについてご紹介します。
本コンテンツをご覧いただき、膠原病に伴う肺高血圧症を早期発見するきっかけのひとつとしていただけますと幸いです。
膠原病に伴う肺高血圧症の予後
膠原病はその疾患をもたない患者さんと比較して肺高血圧症の発症リスクが高く、発症した場合は予後不良であることが知られています。しかし、定期的あるいは適切な時期に検査を行うことにより、早期発見をすることができます。
また、肺高血圧症の中でも、肺動脈性肺高血圧症を早期に発見できた場合は、治療介入により予後の改善が期待できます。
膠原病に伴う肺高血圧症の特徴
膠原病の中でも肺高血圧症を併発しやすいのは、SSc, MCTD,
SLE*です。
肺高血圧症の併発については、膠原病を2つに分けて考えることができます。
それぞれの膠原病に応じて、適切なタイミングで心エコー検査を行いましょう。
*SSc: 全身性強皮症、 MCTD: 混合性結合組織病、 SLE: 全身性エリテマトーデス
肺高血圧症の自覚症状
肺高血圧症の患者さんにみられる主な自覚症状です。
肺高血圧症の検査
心エコー検査
肺高血圧症が疑われる、あるいは発症する可能性のある疾患の患者さんには心エコー検査を行うことが推奨されています1)。
三尖弁逆流ピーク血流速が2.9m/秒以上の場合、肺高血圧症が疑われます。
他の心エコー図所見には右室拡大、心室中隔の圧排、右房サイズの拡大、肺動脈血流速波形があります。詳細はガイドライン1)をご参照ください。
その他の検査
他にも、肺高血圧症が疑われる患者さんに行う検査があります。心エコー検査の結果に加え、これらの所見があれば肺高血圧症の疑いが高まります。
心エコー検査などにより、肺高血圧症が疑われた場合には、右心カテーテル検査により確定診断を行います。適切な治療介入を行うためにも、肺高血圧症の鑑別診断が重要です。右心カテーテル検査や治療介入は、専門施設にて行うことが望ましいとされています。肺高血圧症が疑われる患者さんがいらっしゃる場合は、専門施設への紹介をご検討ください。
文献
1)日本循環器学会 他: 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版).
2)Shirai Y, et al.: Rheumatology(Oxford). 51(10): 1846-1854, 2012.
3)Coghlan JG. et al.: Ann Rheum Dis. 73(7): 1340-1349, 2014.
4)Hinchcliff M, et al.: J Rheumatol. 38(10): 2172‒2179, 2011.
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お気に入りメモ
肺高血圧症の最も特徴的な症状は、労作時息切れですが、膠原病の患者さんにおける息切れには多くの原因が考えられます。息切れの症状があった際には、肺高血圧症を考慮することが大切です。