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普段の診療において、「喘息や心不全の治療をしても労作時の息切れが改善しない」「労作時の息切れの原因が分からない」という患者さんはいらっしゃいませんか?
もしかしたら、その患者さんは、肺高血圧症かもしれません。

特発性肺動脈性肺高血圧症は未治療であると、診断からの生存期間の中央値が2.8年ときわめて予後が不良なことが報告されていますが、近年では肺動脈性肺高血圧症に対する治療薬や治療法の開発により、予後が改善されてきています。

一方で、最近では治療介入の遅れが長期予後の悪化につながることが示されており、早期診断、早期治療介入が予後の改善において重要となります。

※:D'Alonzo GE et al. Ann Intern Med 1991; 115: 343-349.

しかし、肺高血圧症には疾患特異的な症状がなく、かつ稀な疾患のため

この期間をできるだけ短縮し、早期診断、早期治療介入につなげるには、まずは患者さんに身近なかかりつけ医の先生方が、肺高血圧症も疑っていただくことが第一歩となります。

肺高血圧症の自覚症状としては労作時の息切れや易疲労感、胸痛、失神、動悸などが出現してきます。

CHECK

なかでも、労作時の息切れは初発症状として6〜9割の方が経験するといわれ、早期から肺高血圧症を疑うための最も重要な症状といえます。

労作時の息切れ

初発症状として6〜9割の方が経験

しかし、息切れはよくある症状ですので、患者さんの中には、「運動不足」や「年のせい」と思い込み、医師に伝えない方もいらっしゃいます。
このような患者さんの労作時の息切れを見逃さないためには、「駅や自宅の階段を上るときに、今までなかった息切れや疲労感がありますか?」といった最近の体調の変化について問いかけるとよいでしょう。

肺高血圧症の身体所見としては、p音の亢進が聴取されるほか、傍胸骨拍動や右心不全による頸静脈の怒張、肝腫大、下腿浮腫などがあり、

CHECK

身体所見:

検査所見としては、BNPや尿酸の値などから肺高血圧症の疑いを深めることもできます。開業医では、自覚症状や身体所見の確認と、できる範囲の検査で疑いを深めることが大切です。

検査所見

とりわけ、診断において最も重要な指標となる心エコー図検査や確定診断に必須の右心カテーテル検査を実施できない場合は、早めに専門医に紹介することが重要です。たとえ、肺高血圧症ではなかったとしても、精査によりほかの疾患が見つかることもあります。

肺高血圧症患者さんの診療には、かかりつけ医と専門医との連携がカギを握っています。

早期発見で最も大切なことは、原因が分からない労作時の
息切れがある患者さんを診た場合には、肺高血圧症も
疑い早めに専門医に紹介することです。
本日ご紹介した内容を、日頃の診療の中に潜む
肺高血圧症患者さんの早期発見・早期治療介入に
お役立ていただけますと幸いです。

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