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医薬品リスク管理計画(RMP)における安全性検討事項
dravetlennox

安全性検討事項
重要な特定されたリスク 重要な潜在的リスク 重要な不足情報
心臓弁膜疾患
肺動脈性肺高血圧症
食欲減退・体重減少
セロトニン症候群
自殺念慮・自殺企図
該当なし

1.重要な特定されたリスク

  1. ●心臓弁膜疾患(VHD)
    フェンフルラミンを食欲抑制剤として高用量(フェンフルラミン塩酸塩として60~120mg/日)で投与したとき、VHDとの関連が示唆された31-33)ことから、本剤の臨床試験では、心臓の安全性をモニタリングするために心エコー検査を実施しました。Lennox-Gastaut症候群患者に本剤を投与した、1601試験の日本人集団の0.2mg/kg/日群で、僧帽弁閉鎖不全症が1例(9.1%:微量の僧帽弁逆流であり、病的な逆流所見ではない)報告されています。また、海外の製造販売後安全性情報において、VHDの可能性がある症例が1例報告されています。
    フェンフルラミン投与において、ヒトの心臓弁膜への影響は重要な特定されたリスクと考えられるため、本剤での治療中は心エコー検査による定期的なモニタリングを行ってください。
    1. 31)Center for Disease Control and Prevention. Morbidity and Mortality Weekly Report. 1997; 46(45): 1061-6
    2. 32)Connolly HM, et al., New Engl J Med. 1997; 337(9): 581-8. Erratum in: N Engl J Med. 1997; 337(24): 1783
    3. 33)Wong J, et al., Cleve Clin J Med. 1998; 65(1): 35-41
  2. ●肺動脈性肺高血圧症(PAH)
    フェンフルラミンは、PAHを誘発すると考えられている16種類を超える化合物の一つとされています34)。Dravet症候群患者及びLennox-Gastaut症候群患者に本剤を投与した、最長3年間のプラセボ対照試験又は非盲検継続試験において、PAHに合致する心エコー所見(肺動脈収縮期圧測定による評価)を発現した患者は認められていません。しかしながら、成人の肥満治療における高用量(フェンフルラミン塩酸塩として60~120mg/日)のフェンフルラミン投与例で、まれではありますが、重度又は致死的なPAHが報告されています35-37)。また、海外の製造販売後安全性情報において、PAHの可能性がある症例が1例報告されています。
    フェンフルラミン投与において、PAHは重要な特定されたリスクと考えられるため、本剤での治療中は心エコー検査による定期的なモニタリングを行ってください。
    1. 34)Perez VA de Jesus, Adv Pulm Hypertens. 2017; 15(3): 133-7
    2. 35)Douglas JG, et al., Br Med J. 1981; 283: 881-3
    3. 36)McMurray J, et al., Br Med J (Clin Res Ed). 1986; 293(6538): 51-2
    4. 37)Pouwels HM, et al., Eur Respir J. 1990; 3(5): 606-7
  3. ●食欲減退・体重減少
    食欲抑制は、中枢作用性のセロトニン作動薬としての作用機序によって生じるフェンフルラミンの既知の作用です。Dravet症候群患者及びLennox-Gastaut症候群患者に本剤を投与した臨床試験においても、食欲減退と体重減少は最も多く報告された有害事象ですが、試験中止に至る割合が低いことから、大多数の患者では忍容可能と考えられます。
    一方で、Dravet症候群及びLennox-Gastaut症候群患者は、成長に問題があることが知られています38-40)
    フェンフルラミン投与において、食欲減退・体重減少は重要な特定されたリスクと考えられるため、本剤での治療開始及び継続の際には食欲減退・体重減少に関する情報提供・対処法について、患者及び患者の介助者に指導してください。
    1. 38)Eschbach K, et al., Seizure. 2017; 52: 117-22
    2. 39)Villas N, et al., Epilepsy Behav. 2017; 74: 81-6
    3. 40)Cherian KA, et al., "Lennox-Gastaut Syndrome Clinical Presentation", updated: Aug 06 2020,
      Medscape Registration. Drugs & Diseases, Neurology(2024年3月現在)

2.重要な潜在的リスク

  1. ●セロトニン症候群
    フェンフルラミンは、軸索性セロトニントランスポーターのフラックスの反転に関与すると考えられるメカニズムで、シナプス領域外の脳内セロトニンを増加させるため41)、非常にまれな潜在的クラス効果として、セロトニン症候群のリスクがあります。Dravet症候群及びLennox-Gastaut症候群患者に本剤を投与した臨床試験において、セロトニン症候群を発現した症例は認められていません。セロトニン症候群は望ましくない臨床結果であり、フェンフルラミン使用時、特に他のセロトニン作動薬との併用投与時に発現する可能性があります。
    本剤との因果関係が示唆される副作用への該当を完全には否定できないことから、重要な潜在的リスクに設定しました。
    1. 41)Baumann MH, et al., Neuropsychopharmacology. 2014; 39(6): 1355-65
  2. ●自殺念慮・自殺企図
    Dravet症候群患者に本剤を投与した二重盲検試験において、自殺念慮又は自殺行為を示した患者はいませんでした。
    非盲検継続試験において、1例の患者がVisit 1でコロンビア-自殺重症度評価尺度(C-SSRS)による評価で自殺念慮を示し、6ヵ月目まで持続しました。3ヵ月目に臭化物レベルの上昇が認められ、その後投与量が調整されました。患者は16ヵ月目に再度の自殺念慮を示しました。
    Lennox-Gastaut症候群患者に本剤を投与した臨床試験において、日本人集団では自殺念慮又は自殺行為を示した患者はいませんでした。
    日本人以外の集団(コホートA)では、非盲検継続投与期に自殺を目的としない自傷行動及び自殺念慮がそれぞれ1例ずつ報告されました。
    一般に、自殺念慮及び自殺行為は、抗てんかん薬の電子添文内で注意喚起していますが、正確な作用機序は不明です。うつ病と自殺行為は、てんかんを含む慢性疾患でよく認められています。ある研究によると、てんかん患者は健康人と比較して、自殺念慮や自殺行為が強くなる傾向が示されています42)。精神疾患は、一般集団における自殺念慮及び自殺行為のリスク因子の一つであり、うつ病及び/又は自殺念慮もしくは自殺行為の既往歴のある患者では、本剤による治療のリスクとベネフィットを慎重に検討する必要があります。
    以上のことから、自殺念慮・自殺企図を重要な潜在的リスクに設定しました。
    1. 42)Hesdorffer DC, et al., JAMA Psychiatry. 2016; 73(1): 80-6

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