経過観察及び副作用対策
フィンテプラ®の安全性に関する注意
1.重要な基本的注意
①心臓弁膜症、肺動脈性肺高血圧症
- ▷本剤の有効成分であるフェンフルラミンの投与において、心臓弁膜症及び肺動脈性肺高血圧症との関連性が報告されています。
【対策】
- 本剤の投与にあたっては、循環器を専門とする医師との連携のもと、以下の検査等を行ってください。
投与開始前 心エコー検査及び十分な観察(聴診等の身体所見、胸部X線、心電図等)により、心疾患の有無を確認する 投与期間中 心エコー検査及び十分な観察(症状、聴診等の身体所見、胸部X線、心電図等)を定期的に行う - 心エコー検査で確認すべき項目は以下の通りです。
心臓弁膜症 肺動脈性肺高血圧症 - 大動脈弁又は僧帽弁の逆流
- 大動脈弁及び僧帽弁の肥厚
- 心室中隔扁平化
- 右心系拡大
- 肺動脈弁逆流ピーク血流速
- 三尖弁逆流ピーク血流速
- 心エコー検査の頻度は以下を目安としてください。なお、これらは目安であり、患者の年齢や基礎疾患等に応じ実際の頻度は検討するようにしてください。
投与開始前 1回 投与期間中 投与開始後の最初の2年は6ヵ月ごと、その後は6ヵ月~1年ごと 投与終了後 3~6ヵ月後に1回 - 心エコー検査で心臓弁膜の異常が認められた場合、追加の心エコー検査を実施し、異常が持続していないかを評価してください。
- 心エコー検査で心臓弁膜症又は肺動脈性肺高血圧症を示唆する所見が認められた場合は、本剤の投与開始又は投与継続のベネフィットとリスクを考慮し、投与の可否を慎重に判断してください。
②食欲減退・体重減少
- ▷食欲減退や体重減少があらわれることがあります。
【対策】
- あらかじめ患者及びその家族に食欲減退について十分に説明し、必要に応じて医師の診察を受けるよう、指導してください。
- 本剤投与中は定期的に体重計測を実施するなど、患者の状態を慎重に観察してください。
- 体重の減少が認められた場合には、本剤もしくは体重減少を生じうる併用薬の減量を検討してください。
③眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下
- ▷眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあります。
【対策】
- 患者又は保護者等に対し、患者が自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事しないよう注意してください。
④閉塞隅角緑内障
- ▷散瞳を引き起こし閉塞隅角緑内障を誘発するおそれがあります。
【初期症状】
急激な視力低下、眼痛 等
【対策】
- 本剤投与後に急激な視力低下又は眼痛があらわれた場合は本剤の投与中止を考慮してください。
- 治療開始前に、光輪、視野ぼやけ、眼痛の既往歴について患者に確認してください。
- 狭隅角や緑内障の方は特に、本剤投与により散瞳を引き起こし閉塞隅角緑内障を誘発するおそれがあることを考慮し、事前に患者指導を十分に行ってください(本剤臨床試験では、緑内障の病歴を有する方は除外されました)。
⑤てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態
- ▷てんかん発作の増悪又はてんかん重積状態があらわれることがあります。
【対策】
- 投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行ってください。
2.その他の注意
自殺念慮・自殺企図
- ▷海外で実施されたフェンフルラミンを含まない複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照比較試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現リスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算されています(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されています。
【対策】
- 患者及び患者の介護者には、自殺念慮及び自殺企図の徴候が認められた場合には、医師の診察を受けるよう指導してください。
フィンテプラ®の副作用について
次の副作用があらわれることがありますので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
1.重大な副作用
心臓弁膜症(頻度不明)
【初期症状】
心不全(息切れ、むくみ、体重増加)、不整脈(動悸、息切れ) 等
【対処方法】
- 心エコー検査で大動脈弁又は僧帽弁の心臓弁膜症があらわれた場合には、大動脈弁又は僧帽弁の心臓弁膜症の治療に関するガイドラインに従って、適切なモニタリングとフォローアップを行ってください。
肺動脈性肺高血圧症(頻度不明)
【初期症状】
労作時呼吸困難、息切れ、易疲労感、動悸、胸痛、失神、咳嗽、腹部膨満感 等
【対処方法】
- 心エコー検査により肺動脈性肺高血圧症が示唆される所見が認められた場合には、3ヵ月以内のできるだけ早い時期に心エコー検査を再度実施してください。
セロトニン症候群(頻度不明)
【初期症状】
不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、固縮、頻脈、ミオクローヌス、自律神経不安定 等
【対処方法】
- 異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行ってください。セロトニン作動薬との併用時には、特に注意してください。
2.その他の副作用
副作用分類 | 10%以上 | 5%〜10%未満 | 5%未満 | 頻度不明 |
---|---|---|---|---|
胃腸障害 | 下痢 | 便秘、流涎過多、嘔吐 | ||
一般・全身障害及び 投与部位の状態 |
疲労(10.8%) | 無力症、歩行障害、 倦怠感 |
発熱 | |
感染症及び 寄生虫症 |
上気道感染 | 気管支炎、耳感染、 胃腸炎、鼻炎、 インフルエンザ、 肺炎 |
||
臨床検査 | 体重減少、心エコー像異常注) | 血中ブドウ糖減少、 血小板数減少、 拡張期血圧上昇、 血中プロラクチン増加 |
血圧上昇 | |
代謝及び栄養障害 | 食欲減退(30.5%) | |||
神経系障害 | 傾眠(13.8%) | 嗜眠、けいれん発作 | 振戦、運動失調、平衡障害、 よだれ、鎮静 |
てんかん重積状態、 筋緊張低下 |
精神障害 | 異常行動、易刺激性、 攻撃性、不眠症、 激越、拒絶症 |
気分動揺 | ||
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 | 鼻漏 | |||
皮膚及び 皮下組織障害 |
発疹 |
注)病的な逆流所見ではない
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適正使用ガイド
Dravet症候群患者及びLennox-Gastaut症候群患者における「フィンテプラ®」治療フロー
※フィンテプラ®は、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないDravet症候群患者及びLennox-Gastaut症候群患者におけるてんかん発作に対する抗てんかん薬との併用療法薬です。
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臨床試験の概要