1601試験パート1コホートB(国際共同第Ⅲ相臨床試験)(日本人データ)10)
- 10)日本新薬株式会社 社内資料(承認時評価資料):ZX008-1601試験パート1[小児及び成人Lennox-Gastaut症候群患者の発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法として2種類の固定用量のZX008経口液剤を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験]コホートB
COI:本試験はZogenix社の支援により実施された
審査報告書やCTDでは、本剤の用量を「フェンフルラミン塩酸塩」として表記しておりますが、本ページでは、換算係数0.864を用いて有効成分である「フェンフルラミン」として記載しています。
試験概要
目的
日本人小児及び成人Lennox-Gastaut症候群患者を対象として、コントロール不良の発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法としてのフェンフルラミンの有効性及び安全性を確認する。
試験デザイン
多施設共同、無作為化、二重盲検、並行群間比較、プラセボ対照試験
[日本の8施設]
対象
小児及び成人Lennox-Gastaut症候群日本人患者33例
[主な選択基準][主な除外基準]はコホートA参照
投与方法
ベースライン期(4週間)終了後、適格患者をフェンフルラミンの2用量[0.2mg/kg/日又は0.7mg/kg/日(最高用量26mg/日)]又はプラセボのいずれかに1:1:1の比で無作為化した(体重37.5kg未満、37.5kg以上で層別)。
フェンフルラミン1.1、2.2又は4.3mg/mLを含有する経口液剤を用いた。
投与期間は漸増期(T期)2週間及び維持期(M期)12週間の合計14週間(漸減/移行期2週間を含め、最長約16週間)であった。
二重盲検期間の投与スケジュール

有効性評価項目
-
(1)主要評価項目
- T+M期における転倒発作回数のベースラインからの変化率
(フェンフルラミン0.7mg/kg/日群とプラセボ群との比較)
- T+M期における転倒発作回数のベースラインからの変化率
-
(2)重要な副次評価項目
- T+M期における転倒発作回数のベースラインからの変化率
(フェンフルラミン0.2mg/kg/日群とプラセボ群との比較) - T+M期における転倒発作回数がベースラインから50%以上減少した患者割合
- T+M期終了時に治験責任医師が評価したCGI-Iの結果に基づく改善(軽度改善、中等度改善、又は著明改善)が認められた患者割合[参考情報]
- T+M期における転倒発作回数のベースラインからの変化率
安全性評価項目
有害事象、臨床検査、バイタルサイン 等
解析計画
-
(1)解析対象集団
安全性解析対象集団:無作為化され、フェンフルラミン又はプラセボを1回以上投与された患者33例。安全性の解析に用いた。
有効性解析対象集団:無作為化され、フェンフルラミン又はプラセボを1回以上投与された患者のうち、1週間以上の電子日誌が記入されている患者33例(mITT集団)。有効性の主要評価項目及び主な副次評価項目の解析に用いた。
-
(2)有効性
コホートBでは、有効性評価項目の解析は被験者数が少ないため記述的な評価のみとした。
T+M期における転倒発作回数のベースラインからの変化率は、各フェンフルラミン群とプラセボ群の差と95%CIをHodges-Lehmann法を用いて推定し、投与群及び体重グループ(37.5kg未満、37.5kg以上)を因子、ベースライン期の28日間あたりの転倒発作回数の順位を共変量、T+M期の28日間あたりの転倒発作回数のベースラインからの変化率の順位を目的変数とするノンパラメトリック順位ANCOVAを用いて各フェンフルラミン群とプラセボ群を比較した。
転倒発作回数がベースラインから50%以上減少した患者割合は、投与群、体重グループ(37.5kg未満、37.5kg以上)、ベースライン期の転倒発作回数を組み込んだロジスティック回帰モデルを用いて各フェンフルラミン群とプラセボ群を比較した(各フェンフルラミン群で別々のロジスティック回帰モデルを使用)。
治験責任医師が評価したCGI-Iの結果に基づく改善(軽度改善、中等度改善、又は著明改善)が認められた患者割合(参考情報)は、体重で層別化したCochran-Mantel-Haenszel(CMH)検定を用いて各フェンフルラミン群とプラセボ群を比較した。 -
(3)安全性
治験薬投与後に発現した有害事象(TEAE)が認められた患者の数及び割合は、MedDRA version 20.1を用いて、投与群ごとにSOC別及びPT別に要約した。また、重症度別及び治験薬との因果関係評価別でのTEAEの要約も示した。同様に、注目すべきTEAE、重篤なTEAE、及び治験中止に至ったTEAEについても要約した。臨床検査値、バイタルサイン、体重、BMI、身体的所見、神経学的検査、12誘導ECG、ドップラー心エコー、C-SSRS、及びタナー段階のデータは、投与群ごとに、適宜、記述統計量、又は頻度及び割合を用いて要約した。
患者背景
ベースラインのmITT集団
フェンフルラミン 0.7mg/kg/日群 (n=11) |
フェンフルラミン 0.2mg/kg/日群 (n=11) |
プラセボ群 (n=11) |
合計 (n=33) |
|
---|---|---|---|---|
年齢(歳) | ||||
平均値(SD) | 18.5(7.9) |
20.1(7.8) |
18.5(7.8) |
19.1(7.6) |
年齢n(%) | ||||
2~18歳未満 | 5(45.5) |
5(45.5) |
7(63.6) |
17(51.5) |
18~32歳 | 6(54.5) |
6(54.5) |
4(36.4) |
16(48.5) |
性別n(%) | ||||
男性 | 9(81.8) |
9(81.8) |
6(54.5) |
24(72.7) |
女性 | 2(18.2) |
2(18.2) |
5(45.5) |
9(27.3) |
BMI(kg/m2) | ||||
例数 | 11 |
11 |
11 |
33 |
平均値(SD) | 19.9(4.7) |
19.8(4.4) |
18.7(3.4) |
19.5(4.1) |
転倒発作回数(28日間あたり) | ||||
平均値 | 75.9 | 71.4 | 76.5 | ― |
中央値 | 58 | 44 | 53 | ― |
(最小値, 最大値) | (14.0, 285.0) | (11.0, 253.0) | (11.0, 337.0) | |
転倒発作の内訳n(%) | ||||
全般強直間代発作 | 3(27.3) |
3(27.3) |
2(18.2) |
8(24.2) |
二次性全般化強直間代発作 | 0 |
0 |
1(9.1) |
1(3.0) |
強直発作 | 10(90.9) |
10(90.9) |
11(100) |
31(93.9) |
脱力発作 | 4(36.4) |
1(9.1) |
1(9.1) |
6(18.2) |
強直/脱力発作 | 2(18.2) |
3(27.3) |
0 |
5(15.2) |
SD:標準偏差、BMI:Body Mass Index[体重(kg)/身長(m)2]
抗てんかん薬の併用状況と全体の25%以上の患者が併用していた薬剤
フェンフルラミン 0.7mg/kg/日群 (n=11) |
フェンフルラミン 0.2mg/kg/日群 (n=11) |
プラセボ群 (n=11) |
合計 (n=33) |
|
---|---|---|---|---|
抗てんかん薬の併用数 | ||||
1種類 | 0 |
1(9.1) |
0 |
1(3.0) |
2種類 | 1(9.1) |
1(9.1) |
3(27.3) |
5(15.2) |
3種類 | 5(45.5) |
2(18.2) |
4(36.4) |
11(33.3) |
4種類 | 5(45.5) |
7(63.6) |
4(36.4) |
16(48.5) |
バルプロ酸全般 | 8(72.7) |
10(90.9) |
9(81.8) |
27(81.8) |
ラモトリギン | 7(63.6) |
4(36.4) |
14(42.4) |
14(42.4) |
ルフィナミド | 5(45.5) |
3(27.3) |
5(45.5) |
13(39.4) |
データ表示方法:例数(%)
有効性
- ①T+M期における転倒発作回数(28日間あたり)のベースラインからの変化率 vs. プラセボ群
(主要評価項目、重要な副次評価項目)
T+M期における転倒発作回数のベースラインからの変化率のプラセボ群との差は、フェンフルラミン0.7mg/kg/日群で-20.2%(95%CI:-50.9, 17.5)(主要評価項目)、0.2mg/kg/日群で-5.7%(95%CI:-41.6, 40.1)(重要な副次評価項目)であった。
T+M期における平均痙攣発作回数のベースラインからの変化率 vs. プラセボ群(mITT集団)

フェンフルラミン 0.7mg/kg/日群 (n=11) [主要評価項目] |
フェンフルラミン 0.2mg/kg/日群(n=11) [重要な副次評価項目] |
プラセボ群 (n=11) |
|
---|---|---|---|
T+M期の転倒発作回数 (28日間あたり):中央値 |
37.1 | 37.8 | 50.9 |
T+M期における転倒発作回数の ベースラインからの変化率:中央値 |
-34.5% | -14.1% | -17.9% |
転倒発作回数の ベースラインからの変化率 vs. プラセボ群:推定値 (95%CI)a |
-20.2%(-50.9, 17.5) | -5.7%(-41.6, 40.1) | - |
p値b vs. プラセボ群 | 0.2203(名目上のp値) | 0.8144(名目上のp値) | - |
- CI:信頼区間
- a:Hodges-Lehmann法を用いて推定
- b:投与群及び体重グループ(37.5kg未満、37.5kg以上)を因子、ベースライン期の28日間あたりの転倒発作回数の順位を共変量、T+M期の28日間あたりの転倒発作回数のベースラインからの変化率の順位を目的変数とするノンパラメトリック順位ANCOVAモデルにより解析した。
- ②T+M期における転倒発作回数がベースラインから50%以上減少した患者割合
(重要な副次評価項目)
T+M期における転倒発作回数がベースラインから50%以上減少した患者割合は、フェンフルラミン0.7mg/kg/日群で36.4%、0.2mg/kg/日群で36.4%、プラセボ群で9.1%であった。
T+M期における転倒発作回数がベースラインから50%以上減少した患者割合(mITT集団)

フェンフルラミン 0.7mg/kg/日群 (n=11) |
フェンフルラミン 0.2mg/kg/日群 (n=11) |
プラセボ群 (n=11) |
|
---|---|---|---|
T+M期の転倒発作回数が ベースラインから50%以上 減少した患者割合 |
36.4% | 36.4% | 9.1% |
オッズ比(95%CI) | 7.5(0.6, 98.2) | 6.8(0.5, 88.8) | - |
p値a vs. プラセボ群 | 0.1260(名目上のp値) | 0.1418(名目上のp値) | - |
- CI:信頼区間
- a:カテゴリー応答変数(%ポイントの減少達成、yes/no)、体重グループ(37.5kg未満、37.5kg以上)、及び共変量としてのベースライン転倒発作回数を含むロジスティック回帰モデルで解析した。
参考情報
- ③T+M期終了時に治験責任医師が評価したCGI-Iの結果に基づく改善が認められた患者割合
治験責任医師が評価したCGI-Iスコアに改善(「軽度改善」、「中等度改善」、又は「著明改善」)が認められた患者割合は、フェンフルラミン0.7mg/kg/日群で72.7%、0.2mg/kg/日群で45.5%、プラセボ群で9.1%であった。
- 注)本評価項目は、試験計画において重要な副次評価項目として設定されたが、本邦では有効性評価項目として認められなかったため、「参考情報」として記載している。
T+M期終了時に治験責任医師が評価したCGI-Iの結果(mITT集団)

フェンフルラミン 0.7mg/kg/日群 (n=11) |
フェンフルラミン 0.2mg/kg/日群 (n=11) |
プラセボ群 (n=11) |
|
---|---|---|---|
T+M期終了時(Day99)のCGI-Iスコアn(%) | |||
1=著明改善 | 0 |
1(9.1) |
1(9.1) |
2=中等度改善 | 4(36.4) |
2(18.2) |
0 |
3=軽度改善 | 4(36.4) |
2(18.2) |
0 |
4=変化なし | 3(27.3) |
6(54.5) |
9(81.8) |
5=軽度悪化 | 0 |
0 |
1(9.1) |
6=中等度悪化 | 0 |
0 |
0 |
7=著明悪化 | 0 |
0 |
0 |
改善(軽度改善、中等度改善、又は著明改善)が認められた患者割合 n(%) |
8(72.7) |
5(45.5) |
1(9.1) |
オッズ比(95%CI) | 12.9(1.6, 104.7) |
17.0(0.8, 387.1) |
- |
p値a vs. プラセボ群 | 0.0040(名目上のp値) |
0.0491(名目上のp値) |
- |
CI:信頼区間
a:プラセボとの比較において、体重グループ(37.5kg未満、37.5kg以上)で調整後、Cochran-Mantel-Haenszel検定によりp値を算出した。