適切な投与対象患者の選択
(1)適切な投与対象患者の選択
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与してください。 また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与してください。
投与前チェックリスト
本剤の投与開始前に以下の項目について問診・検査を実施し、患者の状態を確認してください。
- 効能又は効果
- 「いいえ」がある場合は、適応外のため、他の治療をご検討ください。
他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫 | はい | いいえ |
---|
(電子添文に基づき設定)
参考臨床試験における「治療抵抗性又は不耐容」の定義[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)]3)
- 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)
臨床試験における治療抵抗性及び不耐容の定義は以下のとおりです。
- 治療抵抗性
-
再 発:
6ヵ月以上完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)が継続した患者における疾患ごとの基準に基づく病勢進行(PD)。
難治性疾患:
CR又はPR未満〔すなわち、安定(SD)、無反応、PD、あらゆる原因による死亡〕と定義される治療無効、又は治療薬の最終投与から 6ヵ月以内のPD。
- 治療不耐容
-
- グレード3の非血液毒性が1件以上、又はグレード2の非血液毒性が2件以上
- 感染又は発熱を伴うグレード3の好中球減少症が1件以上
- グレード4の血液毒性が1件以上
- 上記の場合、PDが認められなくても、14日以上治験薬の投与を中止する(14日以降に進行している可能性がある)
- 毒性は治験薬投与を中断し、グレード1以下に回復しなければならない
治療効果は悪性リンパ腫のLugano2014治療効果判定基準に基づく。
グレードはNCI-CTCAE ver. 5.0に準じる。
- 禁忌
-
「はい」がある場合は、投与禁忌となるため、他の治療をご検討ください。
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者 いいえ はい ⇒ 投与禁忌となるため、他の治療法をご検討ください。 (電子添文に基づき設定)
- 重要な基本的注意/特定の背景を有する患者に関する注意
-
「はい」がある場合は投与に際して注意が必要です。
本剤投与中に手術や侵襲的手技を実施する患者 いいえ はい ⇒ 出血があらわれることがあり、外科的処置に伴って大量出血が生じる可能性があることから、本剤投与中に手術や侵襲的手技を実施する患者に対しては、術前術後の3~5日程度は本剤の投与中断を考慮してください。
【参照】(3)重要な基本的注意に関する情報生殖能を有する者 いいえ はい ⇒ 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明してください。
【参照】(2)特定の背景を有する患者に関する注意妊婦 いいえ はい ⇒ 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましいです。
【参照】(2)特定の背景を有する患者に関する注意授乳婦 いいえ はい ⇒ 授乳しないことが望ましいです。
【参照】(2)特定の背景を有する患者に関する注意小児等 いいえ はい ⇒ 小児等を対象とした臨床試験は実施していません。
【参照】(2)特定の背景を有する患者に関する注意(電子添文に基づき設定)
参考臨床試験における選択基準(抜粋)[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)]3)
- 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)
選択基準に該当しない患者における有効性・安全性は確立していません。
選択基準(抜粋) | ||
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全身状態 | ECOG PSが0~2の患者(日本人はECOG PSが0~1の患者) | |
年齢 | 18歳以上(日本人は20歳以上) | |
血液学的状態 (第1サイクルのDay1の投与前±7日以内) |
好中球数 | 0.75×109/L以上 |
血小板数 | 50×109/L以上で、輸血による支持療法が必要でない | |
ヘモグロビン | 8g/dL以上で、輸血による支持療法又は増殖因子が必要でない | |
凝固能 | 活性化部分トロンボプラスチン時間又は部分トロンボプラスチン時間及びプロトロンビン時間又は国際標準比が基準値上限の1.5倍を超えない | |
肝機能 | ALT及びAST | 基準値上限の2.5倍以下又は肝転移が確認されている場合は基準値上限の5倍以下 |
総ビリルビン | 基準値上限の1.5倍以下 | |
腎機能 | Cockcroft-Gault式によるクレアチニン・クリアランスが30mL/分以上 |
(2)特定の背景を有する患者に関する注意
-
生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明してください5)。
- 5)社内資料:ピルトブルチニブの毒性試験
(電子添文に基づき設定)
参考臨床試験における選択基準(避妊期間関連抜粋)[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)]3)
- 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)
以下の基準に該当する患者を臨床試験において対象としていました。
- 生殖能を有する男性及び女性〔初潮を経験しており、閉経後でない(及び治療に起因しない無月経が2年間継続していない)又は不妊手術を受けていないと定義〕の場合、治験薬の投与期間中及び治験薬の最終投与後6ヵ月間に失敗率が1%未満の通常の非常に効果的な避妊法の使用を遵守する意思がある患者
-
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましいです。 生殖発生毒性試験(ラット)において、器官形成期の妊娠ラットに本剤を投与したところ臨床曝露量注)に相当する用量で胎児体重の減少、胚胎児の死亡及び催奇形性(腎臓欠損・形態異常・位置異常・小型化、尿管欠損、卵巣位置異常、子宮形態異常、胸骨分節形態異常)が認められています5)。
注)臨床推奨用量を投与時の定常状態のAUC
(電子添文に基づき設定)
-
授乳婦
授乳しないことが望ましいです。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがあります。
(電子添文に基づき設定)
-
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していません。
(電子添文に基づき設定)
(3)重要な基本的注意に関する情報
(4)RMPにおける安全性検討事項及び有効性に関する検討事項
1.1. 安全性検討事項 | ||
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重要な特定されたリスク | 重要な潜在的リスク | 重要な不足情報 |
感染症 出血 骨髄抑制 |
不整脈 二次性悪性腫瘍 |
なし |
1.2. 有効性に関する検討事項 |
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該当なし |
適正使用ガイド
ジャイパーカ®の使用に際しては、
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