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注意を要する副作用とその対策

① 感染症

  • 肺炎、敗血症等があらわれることがあるので、日和見感染のリスクが高い患者に対しては、本剤投与前に予防等の適切な処置を行い、本剤投与中は感染症の発現又は悪化に十分注意してください。
  • 肺炎等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行ってください。 対処方法
  • 投与対象患者の選択においては、臨床試験における選択基準及び除外基準を参考に投与の可否を慎重に判断してください。投与開始後は血液検査等によるモニタリングを継続してください。

電子添文及び企業中核データシート[Company Core Data Sheet(CCDS)]に基づき設定)

参考国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)における感染症に関する除外基準(抜粋)3)

  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)

以下の基準に該当する患者は、臨床試験において除外されていました。

  • コントロール不良の活動性かつ全身性の細菌、ウイルス、真菌、又は寄生虫感染(爪の真菌感染を除く)、もしくは患者が治験に参加することが望ましくないと治験医師及び治験依頼者が考えるその他の臨床的に重要な活動性の疾患経過を有する患者。これには、間質性肺疾患(ILD)、重度の安静時呼吸困難、又は酸素投与が必要な場合などが含まれる。慢性的な状態に関するスクリーニングは不要である。また、ILDの既往歴を有する患者についても除外する。
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)検査が陽性であった患者は除外する(抗レトロウイルス薬と本剤の薬物相互作用の可能性、及びHIVと不可逆的BTK阻害剤による日和見感染のリスクがあるため)。HIVの状態が不明である患者はスクリーニング時にHIV検査を行い、その結果が陰性でなければ登録することができない。
  • 以下を含む活動性の真菌、細菌、及び/又はウイルス感染が既知の患者。
  • a.

    A型肝炎ウイルス(スクリーニングは必要ない)

  • b.

    B型肝炎ウイルス(HBV)又はC型肝炎ウイルス(HCV)〔HBV(詳細は以下を参照)及びHCV(各国の基準に基づいて抗体又はリボ核酸[RNA])については、登録前の陰性の検査結果の記録を利用することができる〕

*HBVのエビデンスを有する、又はHBV検査の結果が陽性。HBVの検査結果陽性は、以下のとおり定義する:
B型肝炎ウイルス表面抗原陽性
B型肝炎ウイルスコア抗体陽性かつHBV DNA陽性
B型肝炎ウイルス表面抗体陽性かつHBV DNA陽性

注:B型肝炎ウイルスコア抗体陽性及び/又はB型肝炎ウイルス表面抗体陽性の場合、HBV DNA陰性の患者は登録可とするが、定期的なHBV DNA量のモニタリングを行うこと。再活性化及びHBV DNAが20IU/mL以上であることが確認された場合、各国のガイドラインに基づいて措置を講じるために、肝臓専門医との協議が必要となる。

発現状況3、4)

  1. 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)
  2. 4)Wang ML, et al.:J Clin Oncol. 2023;41(24):3988-3997
    [利益相反:本研究はLoxo Oncology社(イーライリリー・アンド・カンパニーの全額出資子会社)の支援により行われました。著者の中には、顧問又はアドバイザリー契約している者、株式を保有している者、研究助成や講演料などLoxo Oncology社/イーライリリー社より資金提供を受けている者や、Loxo Oncology社/イーライリリー社の社員が含まれています。]
感染症の重症度別の発現状況
[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)](データカットオフ②)
OMTSAS(N=725) MSAS(N=164)
感染症a 全グレード 342(47.2)   59(36.0)
 グレード3又は4  99(13.7)  24(14.6)
 グレード5  29(  4.0)    4( 2.4)
COVID-19を除く感染症b 全グレード  300(41.4)    54(32.9) 
 グレード3又は4   81(11.2)  20(12.2)
 グレード5   14(  1.9)   3(  1.8)

例数(%)
グレードはNCI CTCAE ver. 5.0に準じる。

  • a:

    「感染症および寄生虫症」(SOC)に含まれるPT全体(PT2197用語)、MedDRA ver. 24.0

  • b:

    「感染症および寄生虫症」(SOC)に含まれるPT全体のうち、COVID-19に関連する12事象(無症候性COVID-19、先天性COVID-19、コロナウイルス感染、COVID-19、COVID-19肺炎、小児多臓器炎症症候群、急性COVID-19後症候群、SARS-CoV-2キャリアー、SARS-CoV-2性敗血症、SARS-CoV-2ウイルス血症、COVID-19の疑い、ワクチン由来SARS-CoV-2感染)を除いたもの(PT2185用語)、MedDRA ver. 24.0

  • OMTSAS/MSASに発現した主な感染症の事象(1%以上の患者に発現)は以下のとおりです。
OMTSAS(N=725)
COVID-19 67(9.2)
肺炎 63(8.7)
上気道感染 60(8.3)
尿路感染 58(8.0)
COVID-19肺炎 29(4.0)
副鼻腔炎 27(3.7)
敗血症 16(2.2)
皮膚感染 16(2.2)
帯状疱疹 12(1.7)
気管支炎 11(1.5)
下気道感染 11(1.5)
蜂巣炎   9(1.2)
菌血症   8(1.1)
耳感染   8(1.1)
ライノウイルス感染   8(1.1)
中耳炎   7(1.0)

例数(%)

MSAS(N=164)
肺炎 17(10.4)
上気道感染   9(  5.5)
尿路感染   9(  5.5)
COVID-19   8(  4.9)
COVID-19肺炎   5(  3.0)
敗血症   5(  3.0)
皮膚感染   3(  1.8)
帯状疱疹   3(  1.8)
副鼻腔炎   2(  1.2)
気管支炎   2(  1.2)
下気道感染   2(  1.2)
蜂巣炎   2(  1.2)
鼻炎   2(  1.2)
膿疱性皮疹   2(  1.2)
  • OMTSASに発現したグレード5の死亡に至った感染症29例のうち、15例はCOVID-19の事象(COVID-19 6例、COVID-19肺炎9例)、14例はCOVID-19を除く感染症(肺炎、敗血症、及び敗血症性ショックが各2例、細菌性敗血症、大腸菌性敗血症、感染性胸水、ムコール症、レジオネラ感染、真菌性肺炎、壊死性肺炎、及びレンサ球菌感染が各1例)による死亡でした。このうち3例3件(COVID-19肺炎、壊死性肺炎、及びエンテロコッカス・フェシウムに関連した敗血症性ショック)は治験薬との因果関係が否定できないと判断されました。
  • MSASに発現したグレード5の死亡に至った感染症4例のうち、1例はCOVID-19の事象(COVID-19肺炎)、3例はCOVID-19を除く感染症(肺炎、ムコール症、レンサ球菌感染が各1例)による死亡でした。このうち、治験薬との因果関係が否定できないと判断された症例はありませんでした。

発現時期3)

  1. 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)
感染症aの初回発現時期別の発現状況
[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)](データカットオフ②)
OMTSAS(N=725) MSAS(N=164)
発現例数b 341 59
初回発現時期
初回発現時期中央値 14.71週 9.57週
(最小値~最大値) (0.1~116.3週) (0.1~110.9週)
初回発現時期別の発現割合、例数(%)
0~4週  83(11.4)  14(  8.5)
>4~8週  46(  6.3)  11(  6.7)
>8~12週  28(  3.9)    9(  5.5)
>12週 184(25.4)   25(15.2)
  • a:

    「感染症および寄生虫症」(SOC)に含まれるPT全体(PT2197用語)、MedDRA ver. 24.0

  • b:

    事象の発現日が欠測であった場合は本集計から除外しているため、発現例数が発現状況の集計と一致しない場合があります。

対処方法

本剤投与前に予防等の適切な処置を行い、本剤投与中は感染症の発現又は悪化に十分注意してください。

  • 予防等の適切な処置について

予防等の適切な処置には、手洗いなどの手指消毒及びマスクの着用などの一般的な対処法に加え、季節性インフルエンザ、肺炎球菌、及び帯状疱疹ウイルス等に対するワクチンの投与、感染が想定される菌種及び真菌に対する抗菌薬の予防投与が考えられます。必要に応じて以下を参考にしてください。

【参考資料】抗がん剤治療患者における感染症対策について〔冲中敬二:日化療会誌. 2020; 68(1):132-142〕
https://www.chemotherapy.or.jp/journal/jjc/06801/068010132.pdf(2024年6月アクセス)

  • 本剤投与による日和見感染症(ウイルスの再活性化を含む)について
    [国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)](データカットオフ②)3)
  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)

OMTSAS及びMSASにおいて、結核菌(OMTSASのみ)、ニューモシスチス・イロベチイ、真菌及び水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症が認められ、B型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス及びJCウイルスによる感染症は、本試験では認められませんでした。

発現機序3)

  1. 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)

感染症は、B細胞性悪性腫瘍において発現しやすいということが知られています。また、BTK阻害治療のon-target効果による免疫抑制は、重篤及び致死的なものを含む、感染症の発現又は重症度の増大を引き起こす可能性が考えられます。

② 出血

  • 出血があらわれることがあり、外科的処置に伴って大量出血が生じる可能性があることから、本剤投与中に手術や侵襲的手技を実施する患者に対しては、術前術後の3~5日程度は本剤の投与中断を考慮してください。抗凝固剤又は抗血小板剤による治療と本剤を併用する場合にはリスクとベネフィットを考慮してください。
  • 消化管出血、頭蓋内出血等の出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。 対処方法
  • 投与対象患者の選択においては、臨床試験における選択基準及び除外基準を参考に投与の可否を慎重に判断してください。ワルファリンによる抗凝固療法が必要な患者は臨床試験において除外されていました。

電子添文及び企業中核データシート[Company Core Data Sheet(CCDS)]に基づき設定)

参考国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)における出血に関する選択基準及び除外基準(抜粋)3)

  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)

以下の基準に該当する患者を臨床試験において対象としていました。

  • 第1サイクルのDay1又はその7日以内に、以下に定義する適切な血液学的状態の患者。
  • a. 第Ⅰ相用量漸増及び拡大パート:好中球絶対数(absolute neutrophil count:ANC)が0.75×109/L以上。
    第Ⅰ相及び第Ⅱ相パート:造血を障害するとみなされる骨髄病変が確認されている場合には、この基準値未満でも登録できる。
  • b. 第Ⅰ相用量漸増及び拡大パート:血小板数が50×109/L以上で、輸血による支持療法が必要でない患者。
    第Ⅰ相及び第Ⅱ相パート:造血を障害するとみなされる骨髄病変が確認されている場合には、この基準値未満でも登録できる。
  • c. 第Ⅰ相用量漸増及び拡大パート:ヘモグロビン(hemoglobin:Hb)が8g/dL以上で、輸血による支持療法又は増殖因子が必要でない患者。
    第Ⅰ相及び第Ⅱ相パート:造血を障害するとみなされる骨髄病変が確認されている場合には、この基準値未満でも登録できる。
  • d. 第Ⅰ相及び第Ⅱ相パート:輸血による支持療法の効果が期待できる患者。輸血による支持療法に抵抗性を示したことがある患者は適格としない。
  • ULNの1.5倍を超えない活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:aPTT)又は部分トロンボプラスチン時間(partial thromboplastin time:PTT)及びプロトロンビン時間(prothrombin time:PT)又は国際標準比(international normalized ratio:INR)と定義される適切な凝固能を有する患者

以下の基準に該当する患者を臨床試験において対象としていました。

  • 本剤の投与開始予定前4週間以内に大手術を受けた患者。
  • ワルファリンによる抗凝固療法が必要な患者。
  • 活動性でコントロール不良の自己免疫性血球減少症〔自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia:AIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)など〕を有しており、治験登録前4週間以内に新しい治療法を開始した、又は併用療法の用量を漸増した患者は、適切な血球数を維持している必要がある。
  • 大出血が発現した患者。

注:大出血とは、以下の特徴の1つ以上に該当する出血と定義される:血行動態不全の徴候又は症状を伴う潜在的に生命を脅かす出血;少なくとも2g/dLのヘモグロビン濃度低下を伴う出血;又は重大な部位又は臓器の出血(例えば、後腹膜、関節内、心膜、硬膜外又は頭蓋内の出血もしくはコンパートメント症候群を伴う筋肉内出血)。

発現状況3、4)

  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)
  • 4)Wang ML, et al.:J Clin Oncol. 2023;41(24):3988-3997
    [利益相反:本研究はLoxo Oncology社(イーライリリー・アンド・カンパニーの全額出資子会社)の支援により行われました。著者の中には、顧問又はアドバイザリー契約している者、株式を保有している者、研究助成や講演料などLoxo Oncology社/イーライリリー社より資金提供を受けている者や、Loxo Oncology社/イーライリリー社の社員が含まれています。]
出血の重症度別の発現状況
[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)](データカットオフ②)
OMTSAS(N=725) MSAS(N=164)
出血a 全グレード 249(34.3)  45(27.4) 
 グレード3又は4  15( 2.1)  5( 3.0)
 グレード5    1( 0.1)  1( 0.6)
表在性挫傷を除く出血b 全グレード 126(17.4)   25(15.2) 
 グレード3又は4  15( 2.1)   5( 3.0)
 グレード5    1( 0.1)   1( 0.6)

例数(%)
グレードはNCI CTCAE ver. 5.0に準じる。

  • a:

    「出血関連用語(臨床検査用語を除く)」(SMQ)に含まれるPT全体(PT493用語)、MedDRA ver. 24.0

  • b:

    「出血関連用語(臨床検査用語を除く)」(SMQ)に含まれるPTのうち、表在性の挫傷を表すPTを除いたもの(PT471用語)、MedDRA ver. 24.0

  • OMTSASに発現した主な出血の事象(3%以上の患者に発現)は、挫傷138例(19.0%)、点状出血29例(4.0%)、鼻出血27例(3.7%)、血尿23例(3.2%)でした。
  • MSASに発現した主な出血の事象(3%以上の患者に発現)は、挫傷24例(14.6%)、鼻出血5例(3.0%)でした。
  • OMTSAS/MSASに発現したグレード5の1例(出血)は、治験薬との因果関係はないと判断されました。
  • 重篤な出血はOMTSASの15例(2.1%)、MSASの3例(1.8%)に発現しました。このうちOMTSASの3例(血腫、上部消化管出血、出血性関節症)は治験薬との因果関係が否定できないと判断されました。

発現時期3)

  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)
出血の初回発現時期別の発現状況
[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)](データカットオフ②)
OMTSAS(N=725) MSAS(N=164)
出血a 発現例数c 247 43
初回発現時期
初回発現時期中央値 5.43週 5.14週
(最小値~最大値) (0.1~123.1週) (0.1~123.1週)
初回発現時期別の発現割合、例数(%)
0~4週 108(14.9) 19(11.6)
>4~8週  32( 4.4)   9( 5.5)
>8~12週  29( 4.0)   6( 3.7)
>12週  78(10.8)   9( 5.5)
表在性挫傷を除く出血b 発現例数c 124 23
初回発現時期
初回発現時期中央値 11.93週 7.57週
(最小値~最大値) (0.1~98.0週) (0.1~56.6週)
初回発現時期別の発現割合、例数(%)
0~4週 41(5.7) 8(4.9)
>4~8週 15(2.1) 5(3.0)
>8~12週   9(1.2) 4(2.4)
>12週 59(8.1) 6(3.7)
  • a:

    「出血関連用語(臨床検査用語を除く)」(SMQ)に含まれるPT全体(PT493用語)、MedDRA ver. 24.0

  • b:

    「出血関連用語(臨床検査用語を除く)」(SMQ)に含まれるPTのうち、表在性の挫傷を表すPTを除いたもの(PT471用語)、MedDRA ver. 24.0

  • c:

    事象の発現日が欠測であった場合は本集計から除外しているため、発現例数が発現状況の集計と一致しない場合があります。

対処方法

異常が認められた場合は、血小板減少症の有無を判断し、本剤を休薬、減量又は中止するなど、適切な処置を行ってください。
本剤投与中に手術や侵襲的手技を実施する患者に対しては、術前術後の3~5日程度は本剤の投与中断を考慮してください。

電子添文及び企業中核データシート[Company Core Data Sheet(CCDS)]に基づき設定)

【参照】副作用発現時の用量調節

抗血小板薬又は抗凝固薬との併用による出血への影響
[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)]3)
  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)

OMTSASの218例(30.1%)において抗血小板薬又は抗凝固薬を併用していました。OMTSASに発現したグレード3以上の出血aは16例(2.2%)で、このうち5例(上部消化管出血2例、膝蓋骨上血腫、術後出血、及び硬膜下血腫各1例)は抗血小板薬又は抗凝固薬を併用していました。
詳細は以下のとおりです。

OMTSASに発現したグレード3以上の出血a 抗血小板薬又は抗凝固薬(使用理由)
上部消化管出血(2例)及び術後出血(1例) アスピリン81mgの連日投与(血栓塞栓症予防のため)
硬膜下血腫(1例) アスピリン325mgの連日投与(血栓塞栓症予防のため)
膝蓋骨上血腫(1例) アピキサバン2.5mgの連日投与(心房細動の既往歴のため)
  • a:

    「出血関連用語(臨床検査用語を除く)」(SMQ)に含まれるPT全体(PT493用語)、MedDRA ver. 24.0

発現機序3)

  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)

BTK阻害剤を投与した際に出血が発現する機序は十分に解明されていません。

③ 骨髄抑制

  • 好中球減少症、血小板減少症、貧血等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。 対処方法
  • 本剤の治療期間中は定期的に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察してください。

電子添文に基づき設定)

発現状況3、4)

  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)
  • 4)Wang ML, et al.:J Clin Oncol. 2023;41(24):3988-3997
    [利益相反:本研究はLoxo Oncology社(イーライリリー・アンド・カンパニーの全額出資子会社)の支援により行われました。著者の中には、顧問又はアドバイザリー契約している者、株式を保有している者、研究助成や講演料などLoxo Oncology社/イーライリリー社より資金提供を受けている者や、Loxo Oncology社/イーライリリー社の社員が含まれています。]
好中球減少症、血小板減少症、貧血の重症度別の発現状況
[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)(データカットオフ②)
OMTSAS(N=725) MSAS(N=164)
好中球減少症a 全グレード 165(22.8) 23(14.0)
 グレード3又は4 143(19.7) 22(13.4)
血小板減少症b 全グレード   94(13.0) 24(14.6)
 グレード3又は4   48(  6.6) 11(  6.7)
貧血c 全グレード 102(14.1) 21(12.8)
 グレード3又は4   57(  7.9)   8(  4.9)

例数(%)
グレードはNCI CTCAE ver. 5.0に準じる。

  • a:

    「造血障害による白血球減少症」(SMQ)に含まれるPTのうち、好中球減少に関連するPT(PT8用語)、MedDRA ver. 24.0

  • b:

    「造血障害による血小板減少症」(SMQ)に含まれるPT全体(PT13用語)、MedDRA ver. 24.0

  • c:

    「造血障害による赤血球減少症」(SMQ)に含まれるPT全体(PT29用語)、MedDRA ver. 24.0

  • 発熱性好中球減少症はOMTSASの16例(2.2%)に発現しました。治験薬との因果関係が否定できないと判断された発熱性好中球減少症は9例(1.2%)でした。
  • 発熱性好中球減少症はMSASの2例(1.2%)に発現しました。治験薬との因果関係が否定できないと判断された発熱性好中球減少症は1例(0.6%)でした。
  • グレード5の死亡に至った骨髄抑制は、本試験では認められませんでした。

発現時期3)

  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)
好中球減少症、血小板減少症、貧血の初回発現時期別の発現状況
[国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)](データカットオフ②)
OMTSAS(N=725) MSAS(N=164)
好中球減少症a 発現例数 165 23
初回発現時期
初回発現時期中央値 8週 7.71週
(最小値~最大値) (0.1~136.3週) (0.1~34.1週)
初回発現時期別の発現割合、例数(%)
0~4週 63(8.7) 7(4.3)
>4~8週 21(2.9) 6(3.7)
>8~12週 13(1.8) 4(2.4)
>12週 68(9.4) 6(3.7)
血小板減少症b 発現例数 94 24
初回発現時期
初回発現時期中央値 4.14週 2.14週
(最小値~最大値) (0.1~116.0週) (0.1~116.0週)
初回発現時期別の発現割合、例数(%)
0~4週 46(6.3) 15(9.1)
>4~8週 10(1.4) 0
>8~12週   4(0.6) 2(1.2)
>12週 34(4.7) 7(4.3)
貧血c 発現例数 102 21
初回発現時期
初回発現時期中央値 2.14週 5.14週
(最小値~最大値) (0.1~116.0週) (0.1~116.0週)
初回発現時期別の発現割合、例数(%)
0~4週 54(7.4) 10(6.1)  
>4~8週 10(1.4) 2(1.2)
>8~12週   6(0.8) 2(1.2)
>12週 32(4.4) 7(4.3)
  • a:

    「造血障害による白血球減少症」(SMQ)に含まれるPTのうち、好中球減少に関連するPT(PT8用語)、MedDRA ver. 24.0

  • b:

    「造血障害による血小板減少症」(SMQ)に含まれるPT全体(PT13用語)、MedDRA ver. 24.0

  • c:

    「造血障害による赤血球減少症」(SMQ)に含まれるPT全体(PT29用語)、MedDRA ver. 24.0

対処方法

本剤の治療期間中は定期的に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察してください。
本剤投与により副作用が発現した場合には、休薬・減量・中止してください。

電子添文に基づき設定)

【参照】副作用発現時の用量調節

発現機序3)

  • 3)社内資料:ピルトブルチニブの第Ⅰ/Ⅱ相試験(LOXO-BTK-18001試験)(承認時評価資料)

骨髄抑制は、国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験(BRUIN-18001試験)の被験者の疾患の性質により発現する可能性が高いと考えられます。B細胞性悪性腫瘍では、疾患の性質、複数ラインの治療歴、年齢、及び機能不全を伴う骨髄浸潤などの要因により、骨髄抑制が発現する可能性が増大すると考えられています。

解析対象集団(本剤の開始用量が200mg以外の患者を含む)の定義

OMTSAS※1

:BRUIN-18001試験に組み入れられ、データカットオフ②までに本剤単剤療法を1回以上受けたMCL、CLL/SLL、WM、DLBCL、MZL、FL、RT CLL、B細胞性前リンパ球性白血病、低グレード組織転換、ヘアリー細胞白血病、及びその他のNHLタイプを含む様々なB細胞性悪性腫瘍を有するすべての患者

MSAS※2

:BRUIN-18001試験に組み入れられ、データカットオフ②までに本剤単剤療法を1回以上受けたすべてのMCLの患者

注1:Overall Monotherapy Safety Analysis Set

注2:MCL Safety Analysis Set

BRUIN-18001試験の解析計画はこちら

ジャイパーカ錠の効能又は効果

他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫

ジャイパーカ錠の効能又は効果

通常、成人にはピルトブルチニブとして200mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

解析対象集団(本剤の開始用量が200mg以外の患者を含む)の定義

OMTSAS※1

:BRUIN-18001試験に組み入れられ、データカットオフ②までに本剤単剤療法を1回以上受けたMCL、CLL/SLL、WM、DLBCL、MZL、FL、RT CLL、B細胞性前リンパ球性白血病、低グレード組織転換、ヘアリー細胞白血病、及びその他のNHLタイプを含む様々なB細胞性悪性腫瘍を有するすべての患者

MSAS※2

:BRUIN-18001試験に組み入れられ、データカットオフ②までに本剤単剤療法を1回以上受けたすべてのMCLの患者

注1:Overall Monotherapy Safety Analysis Set

注2:MCL Safety Analysis Set

BRUIN-18001試験の解析計画はこちら

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