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開発の経緯

アザシチジンは殺細胞作用を有するシチジンヌクレオシドアナログとして、1960年代より急性白血病及び他の悪性腫瘍疾患に対する治療薬としての可能性について検討されてきました。1980年代になってアザシチジンにDNAメチル化阻害作用が見出されたことにより1)、その後は骨髄異形成症候群(MDS)治療薬としての開発が進められました。
まず、1985年より米国がん・白血病グループB(CALGB)は、米国国立がん研究所(NCI)の支援を受けて、2つの臨床第Ⅱ相試験(CALGB8421、8921試験)2,3)とFAB分類によるMDSの全てのサブタイプを対象とした臨床第Ⅲ相試験(CALGB9221試験)4,5)を実施しました(海外臨床第Ⅲ相試験ページ参照)。2001年には米国のPharmion社(現Bristol-Myers Squibb社)がUpjohn社(現Pfizer社)からアザシチジンの全世界での開発・販売の権利を取得し、CALGBの3試験についてGCP遵守のもとレトロスペクティブにデータ収集及び再解析を実施しました5,6)。さらに、2003年11月から欧米で高リスクMDS患者を対象に、生存期間を主要評価項目とする臨床第Ⅲ相試験(AZA-001試験)を実施しました7,8)。その結果、アザシチジン群が通常治療(支持療法、少量シタラビン療法、標準化学療法)群よりも有意に生存期間を延長する成績が得られました(p=0.0001、層別ログランク検定、高リスク群を対象とした海外臨床第Ⅲ相試験ページ参照)。
Pharmion社(現Bristol-Myers Squibb社)は2003年12月に米国食品医薬品局(FDA)にCALGB9221試験の成績(再解析データ)を主要な試験成績として新医薬品承認申請(NDA)を行い、2004年5月にFAB分類による5つのサブタイプ(RA、RARS、RAEB、RAEB-T及びCMML)を適応症として承認されました(投与経路:皮下投与)。さらに、CALGB8421試験(投与経路:点滴静注)の臨床成績と、薬物動態試験のシミュレーション結果を用いて、点滴静注の追加申請を行い、2007年1月に承認されました。
また欧州では、2008年1月にAZA-001試験の成績をもとに欧州医薬品審査庁(EMEA)に申請を行い、2008年12月に高リスクMDS(IPSSでInt-2又はHighのMDS、一部のCMML、及び一部のAML)を適応症として承認されました(投与経路:皮下投与)。
日本新薬株式会社は2006年11月にPharmion社(現Bristol-Myers Squibb社)からアザシチジンの導入を受け、日本人MDS患者に対する薬物動態及び安全性、並びに血液学的改善を指標とした有効性の確認を主目的とした臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験9,10)を開始しました(国内臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験ページ参照)。また、2008年11月に「骨髄異形成症候群」を予定される効能・効果又は対象疾病として、希少疾病用医薬品の指定を受けました(指定番号:(20薬)第217号)。2009年12月に国内臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験、AZA-001試験、CALGBの3試験の成績をもとに、「骨髄異形成症候群」を効能・効果案とする医薬品製造販売承認申請を行い、2011年1月にFAB分類による5つのサブタイプ(RA、RARS、RAEB、RAEB-T及びCMML)を適応症として承認されました(投与経路:原則皮下投与、皮下投与が困難な場合は点滴静注も可)(電子添文参照)。
 
海外で実施されたMDS患者を対象とした臨床第Ⅲ相試験の部分集団解析の結果、WHO分類で急性骨髄性白血病(AML)に分類される患者(FAB分類 RAEB-T)において本剤の良好な成績が得られたことなどから、2010年より、海外でCelgene社(現Bristol-Myers Squibb社)が高齢のAML患者を対象とした海外臨床第Ⅲ相試験(AZA-AML-001試験)11,12)を実施しました。その結果、通常治療と比較し本剤による生存期間の延長が認められたことから、欧州において2014年12月に承認申請を行い、2015年10月に65歳以上でHSCT不適応のAMLに対する承認を取得しました(2016年に65歳以上の年齢制限が撤廃)。現在、欧州をはじめとした世界70ヵ国以上の国々において、HSCT不適応の骨髄芽球>30%のAMLを適応症として承認されています(海外臨床第Ⅲ相試験ページ参照)。
また、AbbVie社が開発したベネトクラクスは、国際共同臨床第Ⅲ相試験(M15-65[VIALE-A]試験)13,14)において本剤との併用により本剤単独投与と比べ生存期間を有意に延長することが認められ、2018年12月に米国で標準化学療法不適応の未治療AMLに対し迅速承認を取得しました(国際共同臨床第Ⅲ相試験ページ参照)。
アザシチジン単独の国内開発は、日本新薬株式会社が2018年1月より高齢のAML患者を対象とした国内臨床第Ⅱ相試験(NS17A-P2試験)15)を実施し、AZA-AML-001試験と同様に、高齢のAML患者において本剤が通常治療と比べ生存期間を延長させる可能性が示され、安全性プロファイルにおいても新たなリスクは認められなかったことから、これらAZA-AML-001試験、NS17A-P2試験及びM15-656試験の成績をもとに、AMLに対する効能・効果の追加承認申請を行い、2021年3月に承認を取得しました(国内臨床第Ⅱ相試験ページ参照)。

  • 1)Jones PA, Cell, 20, pp85-93, 1980
  • 2)Silverman LR, Leukemia, 7, suppl 1, pp21-29, 1993
  • 3)Silverman LR, Ann Hematol, 68(A12), Abstract 46, 1994
  • 4)Silverman LR, J Clin Oncol, 20, pp2429-2440, 2002
  • 5)日本新薬株式会社 社内資料:アザシチジンの骨髄異形成症候群に対する海外臨床第Ⅲ相試験(CALGB9221試験)承認時評価資料
  • 6)Silverman LR, J Clin Oncol, 24, pp3895-3903, 2006
  • 7)Fenaux P, Lancet Oncol, 10, pp223-232, 2009
  • 8)日本新薬株式会社 社内資料:アザシチジンの骨髄異形成症候群に対する海外臨床第Ⅲ相試験(AZA-001試験)承認時評価資料
  • 9)Uchida T, Cancer Sci,102, pp1680-1686, 2011
  • 10)日本新薬株式会社 社内資料:アザシチジンの骨髄異形成症候群に対する国内臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験(NS17-P1/2試験)承認時評価資料
  • 11)Dombret H, Blood, 126, pp291-299, 2015
  • 12)日本新薬株式会社 社内資料:急性骨髄性白血病患者に対するアザシチジンの外国第Ⅲ相比較試験(AZA-AML-001試験)承認時評価資料
  • 13)DiNardo CD, N Engl J Med, 383, pp617-629, 2020
  • 14)日本新薬株式会社 社内資料:急性骨髄性白血病患者に対するアザシチジンの国際共同臨床第Ⅲ相比較試験(M15-656試験)承認時評価資料
  • 15)日本新薬株式会社 社内資料:急性骨髄性白血病患者に対するアザシチジンの国内第Ⅱ相比較試験(NS17A-P2試験)承認時評価資料

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