骨髄異形成症候群
臨床成績

海外臨床第Ⅲ相試験(海外データ)4,5,6) (ランダム化非盲検比較試験)

  • 4)Silverman LR, J Clin Oncol, 20, pp2429-2440, 2002
  • 5)社内資料:アザシチジンの骨髄異形成症候群に対する海外臨床第Ⅲ相試験(CALGB9221試験)(承認時評価資料)
  • 6)Silverman LR, J Clin Oncol, 24, pp3895-3903, 2006
    利益相反:本論文の著者にPharmion社(現在のCelgene社)の社員が含まれる。

試験概要

目的

  • アザシチジンの奏効率(CR、PR及び血液学的改善)及び赤血球輸血依存性、血小板数、成熟好中球数、感染症発症率、出血、骨髄芽球率に対するアザシチジンの効果を確認する。
  • アザシチジンの皮下投与に最適な反応性を示す骨髄異形成症候群を確認する。
  • 骨髄異形成症候群患者でのアザシチジンの安全性及び毒性を評価する。

対象

骨髄異形成症候群(FAB分類のRA、RARS、RAEB、RAEB-T、CMML)の191例。但し、RA及びRARSについては、3ヵ月以内の赤血球輸血歴、血小板数≦50,000/mm3もしくは出血症状、又は好中球数<1,000/mm3かつ抗生物質の治療を要する感染症を合併する症例に限った。年齢中央値68歳(範囲31〜92歳)。

全例 FAB分類
RA RARS RAEB RAEB-T CMML その他
アザシチジン群 99
(100%)
21
(21%)
6
(6%)
38
(38%)
16
(16%)
8
(8%)
10
(10%)
支持治療群 92
(100%)
18
(20%)
5
(5%)
39
(42%)
14
(15%)
7
(8%)
9
(10%)
割付
登録された被験者は、アザシチジン群(99例)と支持療法群(輸血・抗生物質・制吐剤・鎮痛剤・解熱剤・電解質補充、92例)に割り付けられた。なおアザシチジン群では必要に応じて支持療法を併用した。支持療法群のうち51例(55%)は、治療開始後56日経過時点で疾患の増悪を認めたため、アザシチジン群にクロスオーバーされた。最初の解析は有効性対象集団で実施した。
またクロスオーバーの影響を回避するために、追加解析を実施した。
全例 191例
用法及び用量
アザシチジン75mg/m2を1日1回7日間皮下投与し、3週間休薬する。これを1サイクルとし、投与を繰り返した。
投与方法
4サイクル終了時にCRの症例はさらに3サイクル追加して終了し、PR又は血液学的改善症例はCRに到達するか再発するまで投与継続すると規定した。
判定基準
有効性:CALGB独自の判定基準による。
安全性:有害事象共通用語規準(NCI-CTC version 2.0)による。

評価項目

主要評価項目:
寛解率(CR+PR)
副次評価項目:
イベント(死亡、疾患増悪、再発、AML移行、AML移行又は死亡)までの期間、赤血球及び血小板輸血依存性、感染症及び出血症状の発現率、ヘモグロビン濃度・白血球数・血小板数・成熟好中球数・骨髄芽球率の変化
安全性評価項目:
有害事象発現率

解析計画

プロスペクティブに試験を実施したが、クロスオーバー群の影響を回避するため、レトロスペクティブに再収集し解析する。

有効性:
  • ランダム化した2群の血液学的寛解(CR+PR)率及びCR率を比較(フィッシャーの正確検定)
  • 赤血球及び血小板輸血率(ユニット数)、抗生物質治療回数、出血率(発現症状数)の解析(Wilcoxon順位和検定)
  • 臨床検査値(ANCOVA)
  • 生存期間(カプランマイヤー法で推定し、ログランク検定)
安全性:

有害事象について、MedDRA(version 10.0)又はMedDRA SMQ20000039に従って集計する。

CALGB(Cancer and Leukemia Group B)による血液学的寛解及び改善の判定基準
CALGB判定基準
血液学的寛解の判定基準
完全寛解
Complete
remission(CR)
骨髄 芽球<5%
末梢血 芽球0% Hb≧13.3(男性)11.7g/dL(女性) PLT≧140,000/mm3 ANC≧1,800/mm3 WBC≧4,300/mm3
部分寛解
Partial
remission(PR)
骨髄 芽球が投与前値の≧50%減少(RA、RARSは規定なし)
末梢血 芽球0% WBC、Hb、PLTの≧50%回復(投与前異常値の場合)
寛解の持続 ≧4週間
病勢の安定
Stable disease(SD)
CR、PR、Improvement、Disease progressionに該当しない
寛解後再発
Relapse after CR or PR
CR→芽球>5% PR→芽球>30% RA、RARS、CMMLの改善例が以下の1つ以上を満たす
・2系統の血球の投与前レベルへの減少 ・輸血依存
増悪
Disease progression
RA、RARS:芽球≧15% RAEB:芽球25% RAEB-T:芽球30% CMML:投与前芽球<5%→≧15%
血液学的改善の判定基準
血液学的改善 CR、PR基準に達しないが、末梢血の1系統以上で≧50%の回復又は赤血球/血小板輸血の≧50%減少のいずれかが4週間以上持続した場合、血液学的改善と判定する。

有効性

アザシチジン75mg/m2を1日1回7日間(28日毎)投与した。

生存期間(主要評価項目)
生存期間(中央値)はアザシチジン群20.1ヵ月(99例)であり、支持療法群15.4ヵ月(92例)と比べて延長していたが、有意差はなかった(p=0.61、ログランク検定)。クロスオーバーによる交絡を排除するために実施した追加解析では、アザシチジン群の生存期間(中央値)は19.9ヵ月(89例)であり、アザシチジン群にクロスオーバーしていない支持療法単独群の10.5ヵ月(36例)より有意に延長していた(p=0.0059、ログランク検定)。
血液学的寛解(主要評価項目)及び改善(副次評価項目)
血液学的寛解率(CR+PR)は、アザシチジン群が16.2%(16/99例)、クロスオーバー前の支持療法群が0%(0/92例)で有意差を認めた(p<0.0001、フィッシャーの正確検定)。クロスオーバー後の寛解率は、支持療法単独群が0%(0/41例)、クロスオーバー群が11.8%(6/51例)であった。
CR及びPRを除く血液学的改善率は、アザシチジン群が33.3%(33/99例)、クロスオーバー前の支持療法群が19.6%(18/92例)であった。クロスオーバー後の改善率は、支持療法単独群が12.2%(5/41例)、クロスオーバー群が33.3%(17/51例)であった。
血液学的寛解率及び改善率
アザシチジン群
(N=99)
支持療法群
(クロスオーバー前)
(N=92)
支持療法単独群
(N=41)
クロスオーバー群
(N=51)
血液学的寛解(CR+PR) 16/99(16.2%) 0/92(0%) 0/41(0%) 6/51(11.8%)
完全寛解(CR) 6/99(6.1%) 0/92(0%) 0/41(0%) 3/51(5.9%)
部分寛解(PR) 10/99(10.1%) 0/92(0%) 0/41(0%) 3/51(5.9%)
血液学的改善(CR、PRを除く) 33/99(33.3%) 18/92(19.6%) 5/41(12.2%) 17/51(33.3%)
赤血球輸血依存状況(副次評価項目)
ベースライン時に赤血球輸血依存であった被験者のうち、試験期間中に赤血球輸血非依存となった被験者の割合は、アザシチジン群で44.6%(29/65例)、支持療法単独群で13.0%(7/54例)であり、有意差を認めた(p=0.0002、フィッシャーの正確検定)。

安全性

〈10%以上に発現したgrade3又は4の有害事象〉
アザシチジン群 n=150
アザシチジン群(99例)と試験途中で支持療法群からアザシチジン群にクロスオーバーされた症例(51例)を含む
貧血 91例(60.7%)
血小板減少症 84例(56.0%)
白血球減少症 56例(37.3%)
好中球減少症 36例(24.0%)
支持療法群 n=92
貧血 45例(48.9%)
血小板減少症 28例(30.4%)
白血球減少症 11例(12.0%)

※試験を中止又はアザシチジン群にクロスオーバーするまでの期間

〈重篤な副作用〉
アザシチジン群 n=150
アザシチジン群(99例)と試験途中で支持療法群からアザシチジン群にクロスオーバーされた症例(51例)を含む
発熱性好中球減少症 14例(9.3%) ブラストミセス症 1例(0.7%)
発熱 13例(8.7%) 注射部位感染 1例(0.7%)
血小板減少症 7例(4.7%) レンサ球菌性咽頭炎 1例(0.7%)
貧血 3例(2.0%) 敗血症 1例(0.7%)
心房細動 2例(1.3%) 血便 1例(0.7%)
心肺停止 2例(1.3%) 脱水 1例(0.7%)
腹痛 2例(1.3%) 骨痛増悪 1例(0.7%)
胃腸出血 2例(1.3%) 筋力低下 1例(0.7%)
胸痛 2例(1.3%) 頸部痛 1例(0.7%)
肺炎 2例(1.3%) 四肢痛 1例(0.7%)
血尿 2例(1.3%) 頭蓋内出血 1例(0.7%)
貧血増悪 1例(0.7%) 失神 1例(0.7%)
白血球減少症 1例(0.7%) 錯乱 1例(0.7%)
好中球減少症 1例(0.7%) うつ病 1例(0.7%)
うっ血性心不全 1例(0.7%) 腰腹痛 1例(0.7%)
うっ血性心筋症 1例(0.7%) 腎不全 1例(0.7%)
憩室炎 1例(0.7%) 呼吸困難 1例(0.7%)
メレナ 1例(0.7%) 労作性呼吸困難 1例(0.7%)
直腸周囲膿瘍 1例(0.7%) 肺浸潤 1例(0.7%)
疲労増悪 1例(0.7%) 呼吸窮迫 1例(0.7%)
全身性炎症反応症候群 1例(0.7%) 壊疽性膿皮症 1例(0.7%)
脱力 1例(0.7%) そう痒性皮疹 1例(0.7%)
胆嚢炎 1例(0.7%) 胆嚢切除 1例(0.7%)
過敏症 1例(0.7%)
〈投与中止に至った有害事象〉
アザシチジン群 n=150
アザシチジン群(99例)と試験途中で支持療法群からアザシチジン群にクロスオーバーされた症例(51例)を含む
注射部位疼痛 1例(0.7%)
注射部位反応 1例(0.7%)
白血球減少症 1例(0.7%)
そう痒性皮疹 1例(0.7%)

試験期間中(初回投与開始から最終投与30日後まで)に死亡した症例は全アザシチジン群で13例(8.7%)であり、薬剤との因果関係は不明である。

死因は、心肺停止2例(1.3%)、壊死性大腸炎、呼吸不全、肺炎、骨髄機能不全・急性白血病、頭蓋内出血、心停止、感染症、中枢神経系出血、感染症の可能性・骨髄異形成症候群、骨髄異形成症候群、冠動脈疾患各1例(0.7%)であった。

9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.8 高齢者:患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

承認された用法及び用量:通常、成人にはアザシチジンとして75mg/m2(体表面積)を1日1回7日間皮下投与又は10分かけて点滴静注し、3週間休薬する。これを1サイクルとし、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。(「用法及び用量に関連する注意」については、電子添文をご参照ください。)

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