75mg/m2を1日1回7日間皮下投与し、3週間休薬する。これを1サイクルとし、投与を繰り返した。疾患の増悪や治療継続困難な有害事象の発現が認められない限り投与を継続し、最低6サイクルを目標とした。
輸血(赤血球、全血、新鮮凍結血漿、血小板)、抗生物質、栄養補給を適宜実施し、ヒドロキシウレアの一時的な使用は可能とした。
20mgを1日2回、10日間皮下投与し、18日間休薬する。これを1サイクルとし、投与を繰り返した。最低4サイクルの投与を目標とした。
寛解導入療法:シタラビン100〜200mg/m2/日を7日間持続静脈内投与+アントラサイクリン※を3日間静脈内投与。
地固め療法:シタラビン100〜200mg/m2/日を3〜7日間持続静脈内投与+アントラサイクリン※を2日間静脈内投与。
寛解導入療法を1サイクル及び可能であれば地固め療法を最大2サイクル実施。
※本試験で使用されたアントラサイクリン系薬剤と用法及び用量
ダウノルビシンを推奨したが、イダルビシンでも可とした。
なお、寛解導入療法と地固め療法では同じ薬剤を使用することとした。
アザシチジン、少量シタラビン療法、標準化学療法では、必要に応じて支持療法を併用した。
ITTを解析対象集団として以下の解析を行う。
安全性解析対象集団(1回以上治療を行い治療開始後に1回以上の安全性評価を行った全ての被験者、支持療法単独群ではランダム化後の安全性評価を1回以上受けた被験者)を対象に、有害事象についてMedDRA(version 16.1)に従って集計する。
IWG判定基準(2003年版) | |
---|---|
完全寛解 Complete remission(CR) |
以下の基準を全て満たす ・好中球数≧1000/μL※ ・血小板数≧10×104/μL ・骨髄芽球<5% ・アウエル小体なし ・輸血非依存 |
血球数の回復が不完全な完全寛解 Morphologic Complete Remission with Incomplete Blood Count Recovery(CRi) |
以下の基準以外は完全寛解の基準を満たす ・好中球数≧1000/μL※ ・血小板数≧10×104/μL |
細胞遺伝学的完全寛解 Cytogenetic Complete Remission(CRc) |
CRの基準を満たし、細胞遺伝学的異常が正常化 |
部分寛解 Partial remission(PR) |
以下の基準を全て満たす ・好中球数≧1000/μL ・血小板数≧10×104/μL ・骨髄芽球が>50%減少し、5〜25% ベースラインの骨髄芽球が≧50%の場合、骨髄芽球が5〜25% ベースラインの骨髄芽球が<50%の場合、骨髄芽球がベースラインの50%以下に減少し、>5% ただし、骨髄芽球≦5%であるが、アウエル小体がある場合も部分寛解と定義する※ |
再発 Relapse after CR or Cri |
CR又はCRi到達後、以下のいずれかを満たし、他に該当するケース(地固め療法後の骨髄再生等)がない場合※ ・末梢血芽球>5% ・骨髄芽球>15% |
治療不成功 Treatment Failure(TF) |
第1サイクル中あるいは最終投与から28日以内(第2サイクル開始前)の死亡 |
増悪 Progressive Disease※(PD) |
以下のいずれかを満たす ・ベースラインの骨髄芽球≦70%:1ヵ月以上離れた2時点において、骨髄芽球がベースラインの>50%増加の状態で持続 ・ベースラインの骨髄芽球>70%:1ヵ月以上離れた2時点において、骨髄芽球が>70%の状態で持続 ・末梢血芽球がベースラインの2倍以上の状態で少なくとも7日以上持続し、最終的な末梢血芽球数が>10×109/L 増悪の判断日は、最初にベースラインから>50%の骨髄芽球増加が認められた日、骨髄芽球>70%の患者で>70%の持続が確認された日又はベースラインの2倍の末梢血芽球数となった日とする。 |
※:IWG response criteria 2003から改変
(1)寛解導入
急性白血病の寛解導入には、シタラビンとして通常1日小児0.6〜2.3mg/kg、成人0.8〜1.6mg/kgを250〜500mLの5%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して、点滴で静脈内投与するか、又は20mLの20%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して、ワンショットで静脈内投与する。通常2〜3週間連続投与を行う。
(2)維持療法
寛解が得られた場合は、維持療法として上記用量を1週1回そのまま皮下、筋肉内投与するか、あるいは上記用法に従い静脈内投与する。
(3)シタラビン少量療法
通常、成人にはシタラビンとして以下の用量を10〜14日間皮下又は静脈内投与する。
・1回10〜20mgを1日2回
・1回20mg/m2を1日1回
アザシチジン75mg/m2を1日1回7日間(28日毎)、中央値で6サイクル(範囲1〜28)投与した。
独立効果判定委員会(IRC)判定に基づく寛解(CR+CRi)率は、アザシチジン群で27.8%(67/241例)、通常治療群で25.1%(62/247例)であった(p=0.5384、フィッシャーの正確検定)。
完全寛解(CR)率は、アザシチジン群で47例(19.5%)、通常治療群で54例(21.9%)であった。
アザシチジン群(n=241) | 通常治療群(n=247) | ||
---|---|---|---|
寛解(CR+CRi) | 67例(27.8%) | 62例(25.1%) | |
再発 | 43例(64.2%) | 35例(56.5%) | |
再発なしの死亡 | 10例(14.9%) | 12例(19.4%) | |
打ち切り | 14例(20.9%) | 15例(24.2%) | |
寛解持続期間中央値 | 10.4ヵ月(95%信頼区間:7.2〜15.2) | 12.3ヵ月(95%信頼区間:9.0〜17.0) | |
1年再発率の推定値 | 52.2%(95%信頼区間:39.0〜63.8) | 46.6%(95%信頼区間:33.1〜58.9) |
アザシチジン群 | n=236 |
---|---|
副作用発現 | 188例(79.7%) |
主な副作用(発現率15%以上) | |
悪心 | 64例(27.1%) |
好中球減少症 | 47例(19.9%) |
血小板減少症 | 41例(17.4%) |
通常治療群 | n=235 | |||
---|---|---|---|---|
副作用発現 | 163例(69.4%) | |||
支持療法群n=40 | 少量シタラビン療法群n=153 | 標準化学療法群n=42 | ||
0例 | 124例(81.0%) | 39例(92.9%) | ||
主な副作用(発現率15%以上) | ||||
好中球減少症 | 35例(22.9%) | 悪心 | 18例(42.9%) | |
血小板減少症 | 34例(22.2%) | 発熱性好中球減少症 | 13例(31.0%) | |
悪心 | 34例(22.2%) | 好中球減少症 | 13例(31.0%) | |
発熱性好中球減少症 | 31例(20.3%) | 発熱 | 10例(23.8%) | |
発熱 | 24例(15.7%) | 血小板減少症 | 9例(21.4%) | |
下痢 | 9例(21.4%) |
アザシチジン群 | n=236 | ||
---|---|---|---|
重篤な副作用発現 | 87例(36.9%) | ||
3例以上に認められた重篤な副作用 | |||
発熱性好中球減少症 | 26例(11.0%) | 好中球減少症 | 4例(1.7%) |
肺炎 | 19例(8.1%) | 血小板減少症 | 4例(1.7%) |
発熱 | 10例(4.2%) | 敗血症 | 4例(1.7%) |
貧血 | 7例(3.0%) | 無力症 | 3例(1.3%) |
通常治療群 | n=235 | |||
---|---|---|---|---|
重篤な副作用発現 | 70例(29.8%) | |||
支持療法群 n=40 | 少量シタラビン療法群 n=153 | 標準化学療法群 n=42 | ||
0例 | 56例(36.6%) | 14例(33.3%) | ||
3例以上に認められた重篤な副作用 | ||||
発熱性好中球減少症 | 23例(15.0%) | 発熱性好中球減少症 | 5例(11.9%) | |
血小板減少症 | 9例(5.9%) | |||
貧血 | 6例(3.9%) | |||
発熱 | 6例(3.9%) | |||
敗血症 | 4例(2.6%) |
アザシチジン群 | n=236 | ||
---|---|---|---|
投与中止に至った有害事象発現 | 110例(46.6%) | ||
3例以上に認められた投与中止に至った有害事象 | |||
急性骨髄性白血病 | 38例(16.1%) | 敗血症性ショック | 4例(1.7%) |
肺炎 | 18例(7.7%) | 発熱 | 3例(1.3%) |
発熱性好中球減少症 | 5例(2.1%) | 敗血症 | 3例(1.3%) |
通常治療群 | n=235 | |||
---|---|---|---|---|
投与中止に至った有害事象発現 | 79例(33.6%) | |||
支持療法群 n=40 | 少量シタラビン療法群 n=153 | 標準化学療法群 n=42 | ||
0例 | 68例(44.4%) | 11例(26.2%) | ||
3例以上に認められた投与中止に至った有害事象 | ||||
急性骨髄性白血病 | 28例(18.3%) | |||
肺炎 | 9例(5.9%) | |||
敗血症 | 5例(3.3%) | |||
発熱性好中球減少症 | 3例(2.0%) | |||
敗血症性ショック | 3例(2.0%) |
アザシチジン群において試験期間中(初回投与日から最終投与28日後まで)に死亡した症例のうち、アザシチジンとの因果関係が否定されなかったのは12例(5.1%)であり、肺炎7例、肺炎・腎不全・呼吸不全1例、マイコプラズマ性肺炎、心血管不全、突然死及び死亡 各1例であった。
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