65歳以上で造血幹細胞移植不適応の未治療急性骨髄性白血病患者44例。
ただし、骨髄芽球比率≧30%で、骨髄異形成症候群から移行した二次性急性骨髄性白血病、又は悪性腫瘍に対して使用された白血病誘発性の治療又は薬剤により発症した二次性急性骨髄性白血病患者を含む。
※予後不良集団:骨髄異形成関連変化を伴う急性骨髄性白血病患者又は予後不良の細胞遺伝学的異常を有する急性骨髄性白血病患者
※※アザシチジン群14例、予後不良集団以外でアザシチジンを投与された16例を合わせた30例をアザシチジン投与例全体とする。
1)以下のいずれかの基準を満たし、WHO classification of AML 2008においてAML-MRCに分類される患者
複雑核型(3種類以上の染色体異常)
不均衡型変異:
-7/del(7q)、-5、i(17q)/t(17p)、-13/del(13q)、del(11q)、del(12p)/t(12p)、del(9q)、idic(X)(q13)
均衡型変異:
t(11;16)(q23;p13.3)、t(3;21)(q26.2;q22.1)、t(1;3)(p36.3;q21.1)、t(2;11)(p21;q23)、t(5;12)(q33;p12)、t(5;7)(q33;q11.2)、t(5;17)(q33;p13)、t(5;10)(q33;q21)、t(3;5)(q25;q34)
2)以下のいずれかの染色体異常を有し、NCCN Guideline of AML 2017 version 2において、予後不良の細胞遺伝学的異常を有するAMLに分類される患者
75mg/m2を1日1回7日間皮下投与又は10分かけて静脈内投与し、3週間休薬する。これを1サイクルとし、投与を繰り返した。疾患の増悪や治療継続困難な有害事象の発現が認められない限り投与を継続し、最低6サイクルを目標とした。
輸血、抗生物質、栄養補給を適宜実施した。ヒドロキシウレアの一時的な使用は可能とした。
20mgを1日2回、10日間皮下投与し、18日間休薬する。これを1サイクルとし、投与を繰り返した。最低4サイクルの投与を目標とした。
寛解導入療法:シタラビン100~200mg/m2/日を7日間持続静脈内投与+アントラサイクリン※を1日1回3日間静脈内投与。
地固め療法:シタラビン100~200mg/m2/日を3~7日間持続静脈内投与+アントラサイクリン※を1日1回2日間静脈内投与。
※本試験で使用されたアントラサイクリン系薬剤と用法及び用量
なお、寛解導入療法と地固め療法では同じ薬剤を使用することとした。
アザシチジン、少量シタラビン療法、標準化学療法では、必要に応じて支持療法を併用した。
有効性の主要解析集団は予後不良集団のFull Analysis Set(FASU)とする。
また、FASUのうち、セントラルレビュー委員の診断で予後不良集団でないことが判明した被験者を除外した集団をmodified FAS(mFAS)と定義し、FASUに対する解析と併せて実施することとした。
安全性解析対象集団(1回以上治療を行い治療開始後に1回以上の安全性評価を行った全ての被験者、支持療法単独群ではランダム化後の安全性評価を1回以上受けた被験者)を対象に、有害事象についてMedDRA(version 20.1)に従って集計する。
IWG判定基準(2003年版) | ||
---|---|---|
完全寛解 Complete remission(CR) |
骨髄 |
|
末梢血 |
|
|
血球数の回復が不完全な完全寛解 Morphologic Complete Remission with Incomplete Blood Count Recovery(CRi) |
骨髄 |
|
末梢血 |
|
|
細胞遺伝学的完全寛解 Cytogenetic Complete Remission(CRc) |
骨髄 |
|
末梢血 |
|
|
部分寛解 Partial Remission(PR) |
骨髄 |
下記のいずれかに該当する
|
末梢血 |
|
|
不変 Stable Disease(SD) | 他の基準(CR、CRi、PR、PD)に該当しない | |
CR又はCRi後の再発 Relapse after CR or CRi |
CRあるいはCRi到達後に下記のいずれかに該当する
|
|
増悪*2 Progressive Disease(PD) |
下記のいずれかに該当する
|
|
治療不成功 Treatment Failure(TF) |
第1サイクル最終投与後28日以内(第2サイクル開始前)の死亡。BSC単独群の場合、ランダム化後28日以内の死亡とする |
*1:評価前1週間において赤血球及び血小板の輸血なし
*2:PD開始日は最初にベースラインから>50%の骨髄芽球比率増加が認められた日、骨髄芽球比率が>70%の患者で>70%の持続が確認された日、ベースラインの2倍の末梢血芽球絶対数となった日と定義する。
(1)寛解導入
急性白血病の寛解導入には、シタラビンとして通常1日小児0.6~2.3mg/kg、成人0.8~1.6mg/kgを250~500mLの5%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して、点滴で静脈内投与するか、又は20mLの20%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して、ワンショットで静脈内投与する。通常2~3週間連続投与を行う。
(2)維持療法
寛解が得られた場合は、維持療法として上記用量を1週1回そのまま皮下、筋肉内投与するか、あるいは上記用法に従い静脈内投与する。
(3)シタラビン少量療法
通常、成人にはシタラビンとして以下の用量を10~14日間皮下又は静脈内投与する。
・1回10~20mgを1日2回
・1回20mg/m2を1日1回
有効性の主要解析集団(FASU)において、アザシチジン(75mg/m2を1日1回7日間、28日毎投与)の投与サイクル数中央値は2サイクル(範囲1~17)であった。
mFAS*における生存期間(中央値)はアザシチジン群9.6ヵ月(95%信頼区間:4.93~18.74)、通常治療群5.3ヵ月(95%信頼区間:0.79~14.50)であった(ハザード比=0.82、95%信頼区間:0.33~2.03、p=0.664、ログランク検定)。
1年生存率は、アザシチジン群で49.0%(95%信頼区間:21.61~71.71)、通常治療群で41.7%(95%信頼区間:15.25~66.53)であった。
*FASUのうち、セントラルレビュー委員の診断で予後不良集団でないことが判明した被験者を除外した集団
また、予後不良集団以外を含むアザシチジン投与例全体における生存期間(中央値)は、12.4ヵ月であった。
アザシチジン群(n=14) | 通常治療群(n=14) | |
---|---|---|
細胞遺伝学的完全寛解(CRc) | 0例(0%) | 0例(0%) |
完全寛解(CR) | 0例(0%) | 1例(7.1%) |
血液の回復が不完全な完全寛解(CRi) | 0例(0%) | 0例(0%) |
部分寛解(PR) | 0例(0%) | 2例(14.3%) |
不変(SD) | 11例(78.6%) | 7例(50.0%) |
CR又はCRi後の再発 | 0例(0%) | 0例(0%) |
増悪(PD) | 1例(7.1%) | 0例(0%) |
治療不成功(TF) | 0例(0%) | 2例(14.3%) |
評価不能 | 0例(0%) | 0例(0%) |
評価なし | 2例(14.3%) | 2例(14.3%) |
アザシチジン投与例全体 | n=30 |
---|---|
副作用発現 | 27例(90.0%) |
主な副作用(発現率20%以上) | |
発熱性好中球減少症 | 12例(40.0%) |
血小板減少症 | 11例(36.7%) |
好中球減少症 | 8例(26.7%) |
貧血 | 8例(26.7%) |
便秘 | 6例(20.0%) |
注射部位反応 | 6例(20.0%) |
食欲減退 | 6例(20.0%) |
アザシチジン群 | n=14 |
---|---|
副作用発現 | 13例(92.9%) |
主な副作用(発現率20%以上) | |
発熱性好中球減少症 | 6例(42.9%) |
血小板減少症 | 6例(42.9%) |
発熱 | 5例(35.7%) |
好中球減少症 | 4例(28.6%) |
便秘 | 4例(28.6%) |
嘔吐 | 4例(28.6%) |
貧血 | 3例(21.4%) |
注射部位反応 | 3例(21.4%) |
倦怠感 | 3例(21.4%) |
肺炎 | 3例(21.4%) |
食欲減退 | 3例(21.4%) |
味覚異常 | 3例(21.4%) |
予後不良集団の通常治療群 | n=14 | |||
---|---|---|---|---|
副作用発現 | 10例(71.4%) | |||
支持療法群 n=1 | 少量シタラビン療法群 n=10 | 標準化学療法群 n=3 | ||
0例 | 7例(70.0%) | 3例(100%) | ||
2例以上に認められた副作用 | ||||
発熱性好中球減少症 | 5例(50.0%) | 発熱性好中球減少症 | 3例(100%) | |
血小板減少症 | 5例(50.0%) | 血小板減少症 | 3例(100%) | |
貧血 | 4例(40.0%) | 下痢 | 2例(66.7%) | |
肺炎 | 3例(30.0%) | |||
食欲減退 | 3例(30.0%) | |||
白血球減少症 | 2例(20.0%) | |||
好中球減少症 | 2例(20.0%) | |||
口内炎 | 2例(20.0%) | |||
倦怠感 | 2例(20.0%) |
アザシチジン投与例全体 | n=30 | ||
---|---|---|---|
重篤な副作用発現 | 16例(53.3%) | ||
発熱性好中球減少症 | 5例(16.7%) | 胃腸出血 | 1例(3.3%) |
肺炎 | 3例(10.0%) | メレナ | 1例(3.3%) |
敗血症 | 2例(6.7%) | 気管支炎 | 1例(3.3%) |
肺感染 | 2例(6.7%) | 腸球菌性菌血症 | 1例(3.3%) |
心不全 | 1例(3.3%) | 敗血症性ショック | 1例(3.3%) |
胃潰瘍 | 1例(3.3%) | 肺臓炎 | 1例(3.3%) |
アザシチジン投与例全体 | n=30 |
---|---|
投与中止に至った有害事象発現 | 4例(13.3%) |
敗血症 | 1例(3.3%) |
胃潰瘍 | 1例(3.3%) |
心不全 | 1例(3.3%) |
肺臓炎 | 1例(3.3%) |
アザシチジン投与例全体において、死亡に至った有害事象は30例中2例(6.7%。予後不良集団で肺浸潤1例、予後不良集団以外で脳梗塞1例)報告されたが、いずれもアザシチジンとの因果関係は否定された。
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