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薬効薬理
作用機序
アザシチジンはシチジンと同じ核酸輸送系で速やかに細胞内に取り込まれた後、シチジンと同様の3段階の細胞内リン酸化過程を経てアザシチジン三リン酸(Aza-CTP)となりRNAへ取り込まれる。一方、アザシチジンはリボヌクレオチドリダクターゼによるデオキシ体への変換反応を経てアザデオキシシチジン三リン酸(Aza-dCTP)となり、DNAへ取り込まれる。アザシチジンは新たに合成されるRNAに組み込まれるとタンパク質合成阻害を引き起こし、殺細胞作用を示す42-46)。またアザシチジンは新たに合成されるDNAに組み込まれると、DNAメチルトランスフェラーゼと不可逆的な複合体を形成して非競合的な酵素阻害作用を示し、遊離DNAメチルトランスフェラーゼを枯渇させる47,48)。その結果、アザシチジンの組み込まれていないDNA鎖のメチル化を阻害して、細胞の分化誘導作用や増殖抑制作用を示す1,49-52)。
骨髄異形成症候群では、がん抑制遺伝子であるCDKN2B(p15INK4B)53-58)やSOCS-159,60)のプロモーター領域の高メチル化と病態進行との関与が報告されている。またアザシチジン投与によって骨髄異形成症候群患者の骨髄細胞のDNAメチル化が低下することが報告されている61,62)。
- 1)Jones PA, Cell, 20, pp85-93, 1980
- 42)Li LH, Cancer Res, 30, pp2760-2769, 1970
- 43)Cortvrindt R, Br J Cancer, 56, pp261-265, 1987
- 44)Kimura S, Anticancer Res, 32, pp795-798, 2012
- 45)Hollenbach PW, PLos ONE, 5, e9001, 2010
- 46)Momparler RL, Leukemia Res, 8, pp1043-1049, 1984
- 47)Jones PA, Recent Results Cancer Res, 84, pp202-211, 1983
- 48)Gabbara S, Biochem J, 307, pp87-92, 1995
- 49)Khan R, Exp Hematol, 34, pp35-43, 2006
- 50)Creusot F, J Biol Chem, 257, pp2041-2048, 1982
- 51)Christman JK, Cancer Res, 43, pp763-769, 1983
- 52)Gambari R, Cell Differ, 14, pp87-97, 1984
- 53)Uchida T, Blood, 90, pp1403-1409, 1997
- 54)Quesnel B, Blood, 91, pp2985-2990, 1998
- 55)Tien HF, Br J Haematol, 112, pp148-154, 2001
- 56)Aggreholm A, Eur J Haematol, 76, pp23-32, 2006
- 57)Hofmann WK, Leukemia Res, 30, pp1347-1353, 2006
- 58)Kim M, Leukemia Res, 34, pp718-722, 2010
- 59)Brakensiek K, Br J Haematol, 130, pp209-217, 2005
- 60)Wu SJ, Br J Haematol, 135, pp317-323, 2006
- 61)Follo MY, Proc Natl Acad Sci, 106, pp16811-16816, 2009
- 62)Gore SD, Cancer Res, 66, pp6361-6369, 2006
臨床薬理試験(海外データ)62)
- 62)Gore SD, Cancer Res, 66, pp6361-6369, 2006
- 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
- 「効能又は効果」、「用法及び用量」、「効能又は効果に関連する注意」、「用法及び用量に関連する注意」等については、電子添文をご参照ください。
アザシチジン投与を受けた骨髄異形成症候群患者及び骨髄異形成症候群から移行した急性骨髄性白血病患者の骨髄細胞でcyclin-dependent kinase inhibitor 2B(CDKN2B)遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化状態を調べた。アザシチジン投与前の患者ではCDKN2B遺伝子のプロモーター領域の高メチル化が認められた。アザシチジン投与後10日目又は14日目では、CDKN2B遺伝子プロモーター領域が広範囲にわたり低メチル化した。
- 承認された用法及び用量:通常、成人にはアザシチジンとして75mg/m2(体表面積)を1日1回7日間皮下投与又は10分かけて点滴静注し、3週間休薬する。これを1サイクルとし、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。(「用法及び用量に関連する注意」については、電子添文をご参照ください。)
非臨床試験
1.アザシチジンのRNA及びDNAへの取り込み(in vitro)
- マウスL1210白血病細胞を用いた実験においてアザシチジンのRNA及びDNAへの取り込みを検討するため、放射線標識した[14C]-アザシチジンを15分から60分作用させた42)。[14C]-アザシチジンは作用時間が長くなるほど取り込みの程度が大きくなり、約80%がRNAに取り込まれ、約20%がDNAに取り込まれた。
処理時間 | 放射活性(cpm/μg) | |
---|---|---|
RNAへの取り込み | DNAへの取り込み | |
0分 | 0.67 | 0.21 |
15分 | 7.63 | 1.14 |
30分 | 17.3 | 3.44 |
45分 | 21.4 | 5.30 |
60分 | 28.6 | 8.13 |
- 42)Li LH, Cancer Res, 30, pp2760-2769, 1970
2.殺細胞作用(in vitro、マウス)
- マウスB16メラノーマ細胞を用いた実験において、アザシチジンは5μmol/Lで50%細胞増殖抑制作用(IC50)を示した43)。その作用はシチジン(10~100μmol/L)の同時添加で濃度依存的に減弱したが、デオキシシチジン(10~100μmol/L)の同時添加では全く減弱しなかった。従ってアザシチジンの殺細胞作用発現には、RNAへの取り込みが重要であることが示唆された。
- 43)Cortvrindt R, Br J Cancer, 56, pp261-265, 1987
- SKM-1細胞株に対するアザシチジンの殺細胞作用を、in vitro及びin vivoで検討した。SKM-1細胞に対してアザシチジンは0.52μmol/L(95%信頼区間:0.47~0.57μmol/L)で50%細胞増殖抑制作用(IC50)を示した44)。またSKM-1細胞を皮下移植したマウスを用いてアザシチジンの抗腫瘍作用を検討したところ、2.5mg/kg及び5mg/kgの用量でコントロール群と比較して有意な腫瘍体積の減少が認められた。
- 44)Kimura S, Anticancer Res, 32, pp795-798, 2012
3.DNAメチル化阻害作用と殺細胞作用(in vitro)
- マウスL1210白血病細胞を用いた実験において、アザシチジンは0.2μmol/Lで50%細胞増殖抑制作用(IC50)を示し、1μmol/LでDNAメチル化を63%阻害したが、100μmol/Lの濃度でのみ弱いDNA合成阻害作用を示した(16%)46)。このことからアザシチジンの殺細胞作用におけるDNA合成阻害の寄与は小さいと考えられた。
殺細胞作用 | IC50(50%細胞増殖を抑制する濃度) | |
---|---|---|
0.2μmol/L | ||
DNAメチル化阻害作用 | 濃度(μmol/L) | 阻害率(%) |
0.1 | 0 | |
1 | 63 | |
10 | 71 | |
DNA合成阻害作用 | 濃度(μmol/L) | 阻害率(%) |
10 | <5 | |
100 | 16 |
- 46)Momparler RL, Leukemia Res, 8, pp1043-1049, 1984
- 骨髄異形成症候群患者(CMML)由来の骨髄球系細胞株P39細胞において、アザシチジンは0.1〜1μmol/Lの濃度で増殖抑制作用を示した49)。またE-カドヘリン(CDH1)遺伝子、エストロゲン受容体(ER)遺伝子及びhypermethylated in cance(r HIC)遺伝子のプロモーター領域のメチル化に対する作用を調べたところ、アザシチジンは0.5μmol/L以上の濃度で、いずれの遺伝子に対しても低メチル化作用を示した。
- 49)Khan R, Exp Hematol, 34, pp35-43, 2006
4.DNAメチル化阻害作用と細胞分化誘導作用(in vitro)
- マウス胎児CH3/10T1/2CL8細胞に対するアザシチジンの分化誘導作用及びメチル化阻害作用について検討した1)。細胞に1~10μmol/Lのアザシチジンを添加すると、濃度依存的にDNAに取り込まれた。また1μmol/Lで35%、2μmol/Lで62%のDNAメチル化阻害作用を示し、2~5μmol/Lで骨格筋の最終分化細胞である筋管細胞への分化誘導が認められた。これらの作用はシチジン、シタラビン、6-アザシチジンでは認められなかった。
- 1)Jones PA, Cell, 20, pp85-93, 1980
- マウスフレンド赤白血病細胞に対し、アザシチジンは1〜1.5μmol/Lで赤血球への分化誘導作用を示した50)。またアザシチジンは1〜10μmol/Lで時間依存的にDNAメチル化酵素の活性及びDNAのメチル化を阻害した。DNAのシチジン残基の0.3%にアザシチジンが取り込まれると95%のDNAメチル化酵素が阻害された。
- 50)Creusot F, J Biol Chem, 257, pp2041-2048, 1982
- ヒトHL60白血病細胞に対し、アザシチジンは1〜5μmol/Lで濃度依存的に顆粒球系細胞への分化誘導作用を示した51)。また4μmol/LのアザシチジンはDNAメチル化酵素の活性及びDNAのメチル化を80〜90%阻害した。
- 51)Christman JK, Cancer Res, 43, pp763-769, 1983
- ヒトK562白血病細胞に対し、アザシチジンは3μmol/L以上の濃度で赤芽球系細胞への分化誘導作用を示し、DNAのメチル化を阻害した52)。
- 52)Gambari R, Cell Differ, 14, pp87-97, 1984
参考情報
1.免疫抑制作用(マウス、ラット)
- CDF1マウスにアザシチジンを腹腔内投与すると、20mg/kg以上の投与量でマウスの骨髄細胞数が溶媒投与群の6〜30%に減少し、骨髄コロニー形成単位は2%に低下した63)。またCDF1マウスにヒツジ赤血球を腹腔内投与することで感作し、その24時間後にアザシチジンを腹腔内投与した。感作8日後にマウス血清の血球凝集(hemagglutination、HA)力価を調べたところ、20mg/kg以上の投与量でHA力価の低下が見られ、抗体形成抑制作用が示唆された。これらの作用は600mg/kgのウリジンを併用することで部分的に拮抗された。
- 63)Vadlamudi S, Proc Soc Exp Biol Med, 133, pp1232-1238, 1970
- AVN×Lewis交雑F1ラットの皮膚をLewisラットに移植し、1日、3日、5日後に6mg/kgのアザシチジンを静脈内投与したところ、皮膚の生着日数が有意に延長した64)。またA/Olaマウス由来脾臓細胞をA/Ola×C57Bl10交雑F1マウスに移入した局所的移植片対宿主反応モデルにおいて、アザシチジン20mg/kgを腹腔内投与すると抑制作用が認められた。以上のようにアザシチジンは移植皮膚生着性向上作用及び局所的移植片対宿主反応抑制作用を示したことにより、細胞性免疫抑制作用をもつことが示唆された。
- 64)Paluska E, Immunobiology, 162, pp288-296, 1982
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