お役に立ちましたか?
お気に入りメモ
開発の経緯
ビルテプソ®点滴静注250 mg(一般名:ビルトラルセン、以下ビルテプソ®、本剤)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療を目的として創製されたモルフォリノ構造を有するアンチセンス核酸製剤です。
DMDは、ジストロフィン遺伝子の変異により、ジストロフィンが産生されないX連鎖性遺伝の筋疾患です。DMDは、重篤な運動機能障害、嚥下障害、排痰困難、消化管障害等が併発し、さらには呼吸筋や心筋の障害も加わり、呼吸不全や心不全で死に至る難治性進行性疾患です。しかし、これまで国内には根本的な治療法がなく、進行抑制に対して十分な効果は得られていませんでした。
そこで、日本新薬株式会社は国立精神・神経医療研究センター(NCNP)との共同研究により、疾患の原因に作用する治療薬としてビルテプソ®を開発しました。
国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(NS065/NCNP01-P1/2)、海外第Ⅱ相試験(NS-065/NCNP-01-201)において、エクソン53スキッピングにより、DMD患者の骨格筋でジストロフィンの発現が確認されました。また、海外第Ⅱ相試験において、時間機能検査(運動機能検査)を自然歴群と比較したところ、一部の検査項目で有意差が認められました。これらの臨床試験において、死亡及び中止・減量に至った有害事象は認められませんでした。
以上の結果より、国内において2019年9月に医薬品製造販売承認申請を行い、2020年3月に「エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失が確認されているデュシェンヌ型筋ジストロフィー」を効能又は効果として、医薬品条件付き早期承認制度により製造販売承認を取得しました。
なお、ビルテプソ®は、国内において2015年10月に先駆け審査指定制度の対象品目[先駆審査(27薬)第2号]となり、2019年8月に希少疾病用医薬品[指定番号(31薬)第440号]に指定されています。また、2021年11月25日より「保険医が投与することができる注射薬」に適用されています[厚生労働省告示第388号]。
- 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
- 国内での治験症例が極めて限られていることから、再審査期間中は、全症例を対象とした使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
- 本剤の有効性及び安全性の確認を目的とした臨床試験及び国内レジストリを用いた調査を実施し、終了後速やかに試験成績及び解析結果を提出すること。
平成29年10月20日に厚生労働省から公表された制度(薬生薬審発1020第1号)。患者数が少ない疾患等の理由で検証的臨床試験を行うことが難しい医薬品において、製販後に有効性・安全性の再確認等のために必要な調査等を実施すること等を承認条件として製造販売承認を行う制度。本制度の対象品目は、次の①~④のいずれにも該当する医薬品とする。
- ①適応疾患が重篤である
- 生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)であること
- 病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であること
- ②医療上の有用性が高い
- 既存の治療法、予防法又は診断法がないこと
- 有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法又は診断法より優れていること
- ③検証的臨床試験の実施が困難であるか、実施可能であっても患者数が少ないこと等により実施に相当の期間を要する
- ④検証的臨床試験以外の臨床試験等の成績により、一定の有効性・安全性が示される
お役に立ちましたか?
お気に入りメモ