試験概要
- 目的
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60~75歳の未治療の高リスクAML患者を対象に、初回治療としてシタラビン及びダウノルビシンの併用療法(7+3療法)に対するビキセオスの有効性及び安全性を検討する。
- 対象
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60~75歳の未治療の高リスクAML患者*のうち、以下のいずれかに該当する患者309例
<選択基準>t-AML:AMLに関係しない疾患の治療として、過去に細胞傷害性治療又は放射線治療歴があるAML
MDSAML:骨髄所見で骨髄異形成症候群(MDS)の既往歴があるAML
CMMLAML:骨髄所見で慢性骨髄単球性白血病(CMML)の既往歴があるAML
de novoAML:MDSに関連する細胞遺伝学的異常を有する未治療AML
- 有効性解析対象[ITT集団] 309例(ビキセオス群153例、7+3療法群156例)
- ITT-HSCT解析対象[ランダム化された患者のうち、HSCTを実施した患者] 91例(ビキセオス群52例、7+3療法群39例)
- 安全性解析対象 304例(ビキセオス群153例、7+3療法群151例)
- * WHO分類(2008年版)に基づきAMLと診断された患者
- 方法
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患者をビキセオス群と7+3療法群に1:1にランダムに割り付けた(割付因子:年齢、AMLのタイプ)。
両群ともに寛解導入療法第1サイクル後に、寛解評価、忍容性に応じて次治療を選択した。寛解導入療法第2サイクルを実施する場合は、第1サイクル開始から35日目までに開始することとした。
地固め療法は寛解導入療法により完全寛解(CR)又は血球数の回復が不完全なCR(CRi)に到達した患者に実施された。第1サイクルは寛解導入療法最終サイクルの36~75日目まで、第2サイクルは第1サイクル後36~56日目までに開始することとした。- ビキセオス群
<寛解導入療法>
第1サイクルとして、ビキセオス100ユニット(シタラビン100mg及びダウノルビシン44mg)/m2を1、3、5日目に90分かけて点滴静注する。
第2サイクルを実施する場合は、ビキセオス100ユニット/m2を1、3日目に90分かけて点滴静注する。<地固め療法>第1サイクルとして、ビキセオス65ユニット(シタラビン65mg及びダウノルビシン29mg)/m2を1、3日目に90分かけて点滴静注する(最大2サイクル)。
- 7+3療法群
<寛解導入療法>
第1サイクルとして、シタラビン100mg/m2を1~7日目まで持続点滴静注、ダウノルビシン60mg/m2を1~3日目に15分かけて静脈内投与する。
第2サイクルとして、シタラビン100mg/m2を1~5日目まで持続点滴静注、ダウノルビシン60mg/m2を1、2日目に15分かけて静脈内投与する。<地固め療法>第1サイクルとして、シタラビン100mg/m2を1~5日目まで持続点滴静注、ダウノルビシン60mg/m2を1、2日目に15分かけて静脈内投与する(最大2サイクル)。
【各サイクルの実施基準】- ※1 寛解導入療法第2サイクル
- 寛解導入療法第1サイクルの14日目に骨髄検査を実施し、骨髄芽球が観察期と比較して>50%減少し、安全性に問題がない場合、第2サイクルの実施を推奨した。
なお、骨髄無形成(骨髄芽球<5%)の患者及び骨髄評価に疑義がある患者では、第2サイクルの実施は推奨しなかった。 - ※2 地固め療法第1サイクル
- 寛解導入療法によりCR又はCRiに到達した患者のうち、ECOG PSが0~2、好中球絶対数(ANC)>500/μLかつ血小板数>50,000/μL、左室駆出率(LVEF)≧50%を満たす場合
- ※3 地固め療法第2サイクル
- ECOG PSが0~2、ANC>500/μLかつ血小板数>50,000/μLを満たす場合
- ビキセオス群
- 評価項目
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- 主要評価項目:全生存期間(OS)[検証的な解析項目]
- 副次評価項目:寛解率及び最良寛解率*、寛解持続期間、造血幹細胞移植(HSCT)実施率 等
- 探索的評価項目:HSCT実施日を起点としたOS 等
- その他の評価項目:好中球数及び血小板数回復までの期間 等
- 安全性:有害事象 等
- * European LeukemiaNet基準(Response criteria in AML According to European LeukemiaNet 2010)4)に基づいて評価した。
- 解析計画
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7+3療法のOS中央値を0.526年と仮定すると、236例のイベント数が必要となる。ハザード比を0.635と推定すると、有意水準0.025とした場合の検出力は93.7%となる。主要評価項目の評価可能例数として270例以上を目標として計画し、評価不能又は同意撤回例を10%以下と想定し、目標症例数を300例と設定した。
<主要評価項目>
OSの解析は死亡例が236例に達した段階及び追跡期間5年終了時に実施した。Kaplan-Meier法を用いて各治療群の全生存率を推定し、層別Log-rank検定を用いてビキセオス群と7+3療法群を比較した(層別因子:年齢、AMLのタイプ)。また、ハザード比[95%信頼区間(CI)]は、年齢及びAMLのタイプで層別化し、Cox比例ハザードモデルを用いて算出した。
<副次評価項目>寛解率は寛解導入療法終了時点のCR又はCR+CRiの割合とし、Mantel-Haenszel検定を用いてビキセオス群と7+3療法群を比較した。寛解導入療法をCRi判定で完了し、地固め療法の実施中又は完了後にCRの基準を全て満たした場合に、CRに上方修正することとした。
治療後の最良寛解率は治療期を通して最も良好な寛解評価(CR又はCR+CRi)の割合とした。通常、寛解導入療法後の寛解評価は、CR又は無効の全ての基準を満たした最初の日をもって判定した。寛解評価は施設ごとに行われ、寛解後治療やHSCTへの移行判断は、施設内の基準に従い実施した。また、独立評価委員が骨髄検査データや末梢血の好中球数や血小板数の回復、輸血状況を基に判定結果を評価した。
寛解持続期間はCR又はCRiに到達した患者を評価対象とし、CR又はCRi到達日から再発又は理由を問わない死亡日までとした。層別Log-rank検定を用いてビキセオス群と7+3療法群を比較した。また、ハザード比[95%CI]は、年齢及びAMLのタイプで層別化し、Cox比例ハザードモデルを用いて算出した。
HSCT実施率は寛解導入療法後にHSCTに移行した患者数及びその割合を集計した。Mantel-Haenszel検定を用いてビキセオス群と7+3療法群を比較した。
<探索的評価項目>ITT-HSCT解析対象を用いて、主要評価項目解析のデータカットオフ時点でHSCTを受けた患者におけるビキセオスの効果を7+3療法群とレトロスペクティブ解析により比較した。HSCT実施日を起点としたOSは、Kaplan-Meier法を用いて推定し、中央値とその95%CIを示した。
<その他の評価項目>好中球数及び血小板数回復までの期間は、Kaplan-Meier法を用いて推定し、中央値とQ1(25パーセンタイル値)、Q3(75パーセンタイル値)を示した。
- 4)Döhner H, et al. Blood. 2010; 115(3): 453-474.