Dravet症候群とは
Dravet症候群は、全般性強直間代発作や半身けいれん等を繰り返す、乳児期発症の発達性てんかん性脳症です。1歳未満に発症し、1歳を過ぎると発達遅滞や運動失調が出現します。
かつては乳児重症ミオクロニーてんかんと呼ばれていましたが、1989年にDravet症候群に改名されました。
Dravet症候群患者の70~80%にSCN1A遺伝子異常が認められており、主な病因と考えられていますが、SCN1B、SCN2A、GABRG2遺伝子変異が認められる場合やDravet症候群以外のてんかんでもSCN1A遺伝子変異が関与していることが知られているため、診断はあくまで臨床症状に基づいて行う必要があります。
- Dravet症候群の特徴
- 発熱誘発けいれん
- てんかん重積を伴いやすい
- 薬物治療に抵抗性
難病情報センター Dravet症候群:指定難病140 診断・治療指針(医療従事者向け)(2023年11月現在)
日本小児神経学会監修 小児急性脳症診療ガイドライン改訂ワーキンググループ編集 小児急性脳症診療ガイドライン2023 第8章 診断と治療社
Dravet症候群の割合
国内のDravet症候群患者数は、約3,000名と考えられています。また、てんかんのうち、約20%はコントロール不良の難治てんかんとされていますが、6歳以下に発症した難治てんかんのうち、Dravet症候群の割合は4%であり、West症候群(36%)、新皮質焦点性てんかん(19%)、Lennox-Gastaut症候群(12%)に次いで4番目に多いと言われています。
難病情報センター Dravet症候群:指定難病140 診断・治療指針(医療従事者向け)(2023年11月現在)
Oguni H, et al. Brain Dev. 2013; 35(8): 786-792.
Dravet症候群で発現しやすい発作型
Dravet症候群では、様々な発作が発現しますが、その中でも強直発作、間代発作、強直間代発作、非定型欠神発作、ミオクロニー発作、焦点意識減損発作が発現しやすいと考えられています。
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強直発作
突然、意識を失って全⾝が突っ張り、⾝体が固くなる発作。チアノーゼ*を伴うことがある。
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間代発作
全⾝や⾝体の⼀部をガクガクする発作。⼀時的に呼吸がとまることがある。
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強直間代発作
突然発症して、強直発作と間代発作を反復する。発作後にもうろう状態になったり、眠ったりすることがある。
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⾮定型欠神発作
数⼗秒間にわたりぼーっとする。話しかけても反応しない発作。⽬をパチパチする。
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ミオクロニー発作
⼿⾜や顔、身体の⼀部が⼀瞬ピクッと収縮する発作。物を落としたり、転んだりする。寝起きや寝⼊りに起こりやすい傾向がある。
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焦点意識減損(複雑部分)発作
数⼗秒間〜数分間、反応が低下し、⾝体の⼀部が無意識に動いたりする発作。
*チアノーゼ:血液中の酸素が不足し皮膚や唇、爪の先が青紫色になる症状
Dravet症候群の予後
Dravet症候群では発症から幼児期に、てんかん重積や群発発作が頻発します。治療によって、学童期以降はてんかん重積や各種てんかん発作は減少し、睡眠時のみの発作に移行する場合も多数あります。一方、完全な発作の消失は稀で、発熱などによる誘発は成人期にも認められます。
合併症として、知的障害、失調、不器用、多動などの症状を幼児期以降に伴うことが多く、自立した社会生活を送ることが困難な患者も多く存在します。

今井克美, Dravet症候群(乳児重症ミオクロニーてんかん) 日本てんかん学会編集 稀少てんかんの診療指標 2017 p50 診断と治療社
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