適正使用のためのフロー
Step1 対象患者の選択 |
Step2 投与前の確認事項 |
Step3 患者への説明と同意 |
Step4 投与方法 |
Step5 治療期間中の注意事項 |
対象患者の選択 CTEPH
4.効能又は効果
肺動脈性肺⾼⾎圧症
外科的治療不適応⼜は外科的治療後に残存・再発した慢性⾎栓塞栓性肺⾼⾎圧症
5.効能又は効果に関連する注意
<効能共通>
- 5.1 本剤の使用にあたっては、最新の治療ガイドラインを参考に投与の要否を検討すること。
<外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症>
- 5.2 WHO機能分類クラスⅠ及びⅣにおける有効性及び安全性は確立していない。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症[肺高血圧症臨床分類(2013年ニース分類)における第4群]
国内第Ⅲ相試験における患者背景は以下の通りです。
安全性解析対象集団 | |||
---|---|---|---|
二重盲検期 | オープンラベル期 i) (n=74) |
||
ウプトラビ®群(n=39) | プラセボ群(n=39) | ||
CTEPH疾患分類 | |||
末梢 ii) | 24例(61.5%) | 25例(64.1%) | 47例(63.5%) |
残存 iii) | 5例(12.8%) | 5例(12.8%) | 10例(13.5%) |
その他 iv) | 10例(25.6%) | 9例(23.1%) | 17例(23.0%) |
PEAの施行歴 | |||
なし | 34例(87.2%) | 34例(87.2%) | 64例(86.5%) |
あり | 5例(12.8%) | 5例(12.8%) | 10例(13.5%) |
BPA又はPTPAの施行歴 | |||
なし | 20例(51.3%) | 17例(43.6%) | 36例(48.6%) |
あり | 19例(48.7%) | 22例(56.4%) | 38例(51.4%) |
PEA:肺動脈内膜摘除術、BPA:バルーン肺動脈拡張術、PTPA:経皮経管的肺動脈拡張術
- i) 二重盲検期開始時の値
- ii) 器質化した血栓が末梢に局在するために PEAの施行が不能と判断された患者
- iii) PEA後に肺高血圧症が持続又は再発し、急性血栓塞栓症再発の徴候はみられず、再手術に適さないと判断された患者
- iv) 高リスク(合併症、高齢など)又はその他の理由によりPEAを施行しないと判断された患者
他の肺血管拡張薬(可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬、エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ5阻害薬など)をすでに投与されている患者にも使用できます。
国内第Ⅲ相試験における肺血管拡張薬の併用状況は以下の通りです。
安全性解析対象集団 | |||
---|---|---|---|
二重盲検期 | オープンラベル期 i) (n=74) |
||
ウプトラビ®群(n=39) | プラセボ群(n=39) | ||
可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬併用 | |||
なし | 15例(38.5%) | 15例(38.5%) | 28例(37.8%) |
あり | 24例(61.5%) | 24例(61.5%) | 46例(62.2%) |
エンドセリン受容体拮抗薬併用 | |||
なし | 33例(84.6%) | 32例(82.1%) | 63例(85.1%) |
あり | 7例(17.9%) | 6例(15.4%) | 10例(13.5%) |
ホスホジエステラーゼ5阻害薬併用 | |||
なし | 37例(94.9%) | 38例(97.4%) | 72例(97.3%) |
あり | 2例(5.1%) | 1例(2.6%) | 2例(2.7%) |
肺血管拡張薬ii)併用 | |||
なし | 13例(33.3%) | 13例(33.3%) | 25例(33.8%) |
あり | 26例(66.7%) | 26例(66.7%) | 49例(66.2%) |
- i)二重盲検期開始時の値
- ii)可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬、エンドセリン受容体拮抗薬又はホスホジエステラーゼ5阻害薬
※ 慢性血栓塞栓性肺高血圧症[肺高血圧症臨床分類(2013年ニース分類1))における第4群]の適応については、各薬剤の電子添文を確認してください。
1)Simonneau G, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;62:D34-41.
日本循環器学会の肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)2)では、まず手術適応を検討し、肺動脈内膜摘除術(PEA)の適応がない場合、バルーン肺動脈拡張術(BPA)や血管拡張療法が推奨されます。また、PEA やBPA 後に肺高血圧症が残存する場合にも血管拡張療法が推奨されます。
日本循環器学会.肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版).
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/10/JCS2017_fukuda_h.pdf(2021年8月閲覧)
肺血管拡張薬の推奨クラスとエビデンスレベル
本ガイドラインのCTEPHの治療アルゴリズムでは、肺血管拡張薬の投与は推奨クラスI、エビデンスレベルBで推奨されています。
CTEPHの治療アルゴリズム(推奨クラス、エビデンスレベル)
エビデンスレベル
レベルA (高) |
多数の患者を対象とする多くの無作為臨床試験によりデータが得られている場合 |
レベルB (中) |
少数の患者を対象とする限られた数の無作為試験、あるいは非無作為試験または観察的登録の綿密な分析からデータが得られている場合 |
レベルC (低) |
専門家の合意が勧告の主要な根拠となっている場合 |
推奨クラス分類
クラスⅠ | 手技・治療が有用・有効であることについて証明されているか、あるいは見解が広く一致している(推奨/適応) |
クラスⅡ | 手技・治療の有用性・有効性に関するデータまたは見解が一致していない場合がある |
クラスⅡa | データ・見解から有用・有効である可能性が高い(考慮すべき) |
クラスⅡb | データ・見解により有用性・有効性がそれほど確立されていない(考慮してもよい) |
クラスⅢ | 手技・治療が有用・有効ではなく、ときに有害となる可能性が証明されているか、 あるいは有害との見解が広く一致している(推奨不可) |