適正使用のためのフロー
Step1 対象患者の選択 |
Step2 投与前の確認事項 |
Step3 患者への説明と同意 |
Step4 投与方法 |
Step5 治療期間中の注意事項 |
臨床試験において認められた主な副作用 PAH
(すべての副作用を記載したものではありません。)
国内外の臨床試験において認められた本剤の主な副作用です。
本剤による治療に際しては、発現する副作用の程度及び持続期間に応じて、患者ごとに服用継続の可否(忍容性)をご判断ください。
国内外の臨床試験における主な副作用(発現率5%以上)
解析対象例数:肺動脈性肺高血圧症患者612例(国内第Ⅱ相試験:37例、海外第Ⅲ相試験:575例)
副作用i) | 発現例数 | 発現率 |
---|---|---|
全副作用 | 552例 | 90.2% |
頭痛 | 380例 | 62.1% |
下痢 | 227例 | 37.1% |
悪心 | 169例 | 27.6% |
顎痛 | 160例 | 26.1% |
筋肉痛 | 87例 | 14.2% |
四肢痛 | 82例 | 13.4% |
嘔吐 | 82例 | 13.4% |
潮紅 | 79例 | 12.9% |
浮動性めまい | 50例 | 8.2% |
関節痛 | 46例 | 7.5% |
- i)MedDRA/PT用語
副作用のコントロール
これらの副作用は、最低用量(1回0.2mg)から患者の忍容性を確認しながら慎重に漸増する投与方法により、その発現を回避する、もしくは軽度なものに抑えることができる可能性があります。
副作用が発現した場合でも、忍容性確認期間の延長や用量の減量、対症療法等で、副作用の症状が抑えられる可能性もあります。
耐えられない副作用等で、服用の継続が困難な場合は、用量を前段階の低い用量に減量します。
患者の状態、忍容性、副作用の程度に応じて、用量の維持、減量、再増量をご判断ください。
重大な副作用とその対策 PAH
重大な副作用として、低血圧、出血、甲状腺機能異常があらわれることがあります。
これらの副作用の発現は重大な転帰を辿る可能性がありますので、観察を十分に行ってください。
低血圧
- 過度の血圧低下〔低血圧(3.2%)、起立性低血圧(0.7%)等〕があらわれることがあります。
- 観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
- 血圧低下は、本剤のプロスタサイクリン受容体を介した血管拡張作用によるもので、同種同効薬でも「警告」あるいは「重大な副作用」として注意喚起されています。
- 低血圧による転倒などの健康被害の発生並びに自動車事故などの発生が危惧されます。
臨床試験における発現状況
- 用量漸増又は長期投与に伴い、低血圧に関連する副作用の発現率が高まる傾向は認められませんでした。
- 2年以上の投与期間中、血圧値(収縮期血圧及び拡張期血圧)の推移に、大きな変化は認められませんでした。
- 中止に至った低血圧に関連する副作用は、国内第Ⅱ相試験の血圧低下1例でした。
- 重篤又は高度の低血圧に関連する副作用は、ウプトラビ®群で0.5%(3/612例)に認められました。
国内第Ⅱ相試験で血圧低下1例、海外第Ⅲ相試験で起立性低血圧2例が認められ、起立性低血圧の1例では、重篤な失神を伴いました。
<臨床試験時の対処>
国内第Ⅱ相試験における血圧低下に対してはカテーテル挿入や強心薬の対症療法が行われました。
海外第Ⅲ相試験においては、起立性低血圧・失神の1例は無処置で回復し、高度な起立性低血圧の1例は酸素療法が行われました。臨床試験 年齢
性別投与量i) 副作用ii) 発現日iii) 持続期間iv) 重篤/
非重篤程度 治験薬
の処置転帰v) 国内第Ⅱ相
試験42歳
女性0.2mg 血圧低下 3日 7日 重篤 高度 中止 回復 海外第Ⅲ相
試験48歳
女性0.8mg 起立性低血圧 389日 5日 重篤 中等度 継続 回復 失神 389日 5日 重篤 中等度 継続 回復 64歳
女性2.8mg 起立性低血圧 113日 1日 非重篤 高度 減量 回復 - i)副作用発現時のウプトラビ®錠投与量(mg/日)
- ii)MedDRA/PT用語
- iii)ウプトラビ®錠の投与開始から副作用発現までの日数
- iv)副作用の発現日から転帰までの日数
- v)副作用に対して報告された転帰
出血
- 出血〔鼻出血(1.6%、10/612例)、網膜出血(0.3%、2/612例)等〕があらわれることがあります。
- 観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
- 本剤はプロスタサイクリン受容体を介した血小板凝集抑制作用を有しており、同種同効薬においても出血や出血傾向が認められています。
臨床試験における発現状況
- 用量漸増又は長期投与に伴い、出血に関連する副作用の発現率が高まる傾向は認められませんでした。
- 2年以上の投与期間中、出血に関連するパラメータである血小板数、プロトロンビン時間国際標準比及び活性化部分トロンボプラスチン時間の推移に大きな変化は認められませんでした。
- 中止に至った出血に関連する副作用は、いずれの臨床試験でも認められませんでした。
- 海外第Ⅲ相試験でワルファリンを併用している患者における出血に関連する有害事象の発現率は、ウプトラビ®群17.3%(32/185例)でした。海外第Ⅲ相試験のウプトラビ®群全体での発現率は15.5%(89/575例)で、ワルファリンの併用による有害事象の発現率への影響は認められませんでした。
- 重篤又は高度の出血に関連する副作用は、ウプトラビ®群で0.2%(1/612例)で認められました。国内第Ⅱ相試験では認められず、海外第Ⅲ相試験で吐血・胃腸出血1例が認められました。この患者は、特発性血小板減少性紫斑病と診断されました。
<臨床試験時の対処>
吐血・胃腸出血の発現後、本剤の投与を休薬しました。特発性血小板減少性紫斑病は吐血・胃腸出血による休薬の3日後に発現し、発現から196日後に回復しました。臨床試験 年齢
性別投与量i) 副作用ii) 発現日iii) 持続期間iv) 重篤/
非重篤程度 治験薬
の処置転帰v) 海外第Ⅲ相
試験46歳
女性2.0mg 吐血 172日 13日 重篤 中等度 休薬 回復 胃腸出血 172日 27日 重篤 高度 休薬 回復 0mg 特発性血小板
減少性紫斑病175日 196日 重篤 高度 休薬 回復 - i)副作用発現時のウプトラビ®錠投与量(mg/日)
- ii)MedDRA/PT用語
- iii)ウプトラビ®錠の投与開始から副作用発現までの日数
- iv)副作用の発現日から転帰までの日数
- v)副作用に対して報告された転帰
甲状腺機能異常
- 甲状腺機能異常〔甲状腺機能亢進症(0.6%)、甲状腺機能低下症(0.4%)等〕があらわれることがあります。
- 必要に応じて甲状腺機能検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行ってください。
- プロスタサイクリン受容体作動薬において甲状腺機能異常が報告されています。
臨床試験における発現状況
- 用量漸増又は長期投与に伴い、甲状腺機能異常に関連する副作用の発現率が高まる傾向は認められませんでした。
- 2年以上の投与期間中、甲状腺機能異常に関連するパラメータである、甲状腺刺激ホルモン、トリヨードサイロニン及びサイロキシンの推移に大きな変化は認められませんでした。
- 中止に至った甲状腺機能異常に関連する副作用は、海外第Ⅲ相試験の自己免疫性甲状腺炎・甲状腺機能亢進症の1例(0.2%)のみでした。
- 重篤又は高度の甲状腺機能異常に関連する副作用は、ウプトラビ®群で0.3%(2/612例)で認められました。国内第Ⅱ相試験では認められず、海外第Ⅲ相試験で自己免疫性甲状腺炎・甲状腺機能亢進症1例及びバセドウ病1例が認められました。
<臨床試験時の対処>
自己免疫性甲状腺炎・甲状腺機能亢進症の1例は投与を中止し、発現から40日で回復しました。
バセドウ病の1例はメトプロロールとチアマゾールによる治療を行い、症状は回復しませんでしたが、投与は継続されました。臨床試験 年齢
性別投与量i) 副作用ii) 発現日iii) 持続期間iv) 重篤/
非重篤程度 治験薬
の処置転帰v) 海外第Ⅲ相
試験37歳
女性1.6mg 自己免疫性甲状腺炎 311日 40日 重篤 中等度 中止 回復 甲状腺機能亢進症 33歳
女性2.8mg バセドウ病 370日 ─ 重篤 中等度 継続 未回復 - i)副作用発現時のウプトラビ®錠投与量(mg/日)
- ii)MedDRA/PT用語
- iii)ウプトラビ®錠の投与開始から副作用発現までの日数
- iv)副作用の発現日から転帰までの日数
- v)副作用に対して報告された転帰
ウプトラビ®錠の投与に際しては、最新の電子添文情報及びDrug Informationを確認してください。