薬物動態
血漿中濃度
1単回投与 10)
健康成人男性6例にウプトラビ®0.2及び0.4mgを食後に単回経口投与したとき、セレキシパグ及び活性代謝物MRE-269の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。セレキシパグ及びMRE-269のCmax及びAUC0-∞は、いずれも用量とともに増加した。
健康成人男性にウプトラビ®0.2mg及び0.4mgを単回経口投与したときのセレキシパグ及びMRE-269の血漿中濃度推移
※左右のグラフで横軸のスケールが異なりますので、ご注意ください。
ウプトラビ®0.2mg及び0.4mgを単回経口投与したときのセレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータ
1回投与量 (mg) |
Cmax (ng/mL) |
tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
AUC0-∞ (ng・hr/mL) |
|
---|---|---|---|---|---|
セレキシパグ | 0.2 | 3.30±0.81 | 1.75 (1.00,2.50) | 0.849±0.133 | 8.59±2.64 |
0.4 | 8.55±1.33 | 1.50 (1.50,2.00) | 1.03±0.26 | 18.8±2.9 | |
MRE-269 | 0.2 | 4.06±0.94 | 4.50 (2.50,5.00) | 10.5±4.0 | 24.0±5.5 |
0.4 | 7.40±1.23 | 3.50 (2.00,5.00) | 7.84±2.43 | 45.7±8.9 |
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(最小値,最大値)、n=6
6.用法及び用量 通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投与から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。 なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投与する。
2反復投与
1)健康成人 10)
健康成人男性6例にウプトラビ®0.2~0.6mgを1日2回食後反復経口投与したとき、セレキシパグ及びMRE-269の定常状態における薬物動態パラメータは下表のとおりであった。セレキシパグ及びMRE-269の血漿中濃度は投与3日目にほぼ定常状態に達した。
健康成人男性にウプトラビ®0.2~0.6mgを1日2回反復経口投与したときの
定常状態におけるセレキシパグ及びMRE-269の血漿中濃度推移(最終投与後)
※左右のグラフで横軸のスケールが異なりますので、ご注意ください。
ウプトラビ®0.2~0.6mgを1日2回反復経口投与したときの
セレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータ
1回投与量 (mg) |
Cmax (ng/mL) |
tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
AUC0-12hr (ng・hr/mL) |
|
---|---|---|---|---|---|
セレキシパグ | 0.2 | 2.98±0.85 | 1.50 (1.00,3.00) | 0.855±0.204 | 6.53±2.36 |
0.4 | 8.71±0.79 | 1.50 (1.00,1.50) | 1.38±0.62 | 17.5±3.5 | |
0.6 | 10.7±3.0 | 1.50 (1.50,2.50) | 1.89±0.53 | 24.8±3.7 | |
MRE-269 | 0.2 | 4.24±0.81 | 3.00 (2.50,4.00) | 10.7±3.7 | 22.8±5.8 |
0.4 | 10.2±1.6 | 2.75 (2.00,4.00) | 11.2±4.0 | 60.5±8.0 | |
0.6 | 12.4±2.0 | 3.00 (2.50,5.00) | 7.89±2.36 | 69.7±12.3 |
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(最小値,最大値)、n=6
2)慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者 11)
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)患者24例にウプトラビ®0.2~0.8mgを1日2回食後反復経口投与したとき、定常状態におけるセレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータは下表の通りであった。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者にウプトラビ®0.2~0.8mgを1日2回反復経口投与した ときの定常状態におけるセレキシパグ及びMRE-269の血漿中濃度(投与17週)
慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者にウプトラビ®0.2~0.8mgを1日2回反復経口投与したときのセレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータ
1回投与量a (mg) |
N | Cmax (ng/mL) |
tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
AUC0-t (ng・hr/mL) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
セレキシパグ | 0.2 | 1 | 1.98 | 2.50 | 0.934 | 6.66 |
0.3 | 1 | 1.63 | 2.50 | 0.759 | 4.66 | |
0.5 | 4 | 2.91±0.76 | 2.88±0.75 | 1.09±0.10b | 9.52±5.99 | |
0.6 | 4 | 5.06±3.90 | 3.38±1.75 | 1.02±0.28b | 14.6±11.2 | |
0.7 | 3 | 4.47±2.13 | 2.50±0.00 | 1.24±0.53 | 15.0±8.4 | |
0.8 | 11 | 10.2±6.1 | 2.77±0.61 | 1.34±0.69c | 29.7±18.3 | |
MRE-269 | 0.2 | 1 | 5.77 | 4.00 | NC | 36.1 |
0.3 | 1 | 5.13 | 4.00 | NC | 23.1 | |
0.5 | 4 | 10.3±4.5 | 3.75±1.66 | 3.14d | 51.1±28.6 | |
0.6 | 4 | 9.38±1.14 | 3.38±1.75 | 4.44±3.14b | 43.4±14.1 | |
0.7 | 3 | 12.1±1.6 | 3.50±0.87 | NC | 71.4±9.8 | |
0.8 | 11 | 16.3±8.9 | 3.23±1.15 | 4.79±4.83e | 82.2±49.2 |
平均値±標準偏差
- NC : 算出不可
- a : 最終維持用量、b : N=3、c : N=9、d : N=2、e : N=7
3食事の影響
(1)標準食 10)
健康成人男性4例にウプトラビ®0.4mgを空腹時及び食後30分に単回経口投与したとき、空腹投与時と比較して、セレキシパグのCmaxは32%、AUC0-∞は15%低下した。MRE-269のCmaxは7%、AUC0-∞は12%低下した。
(2)高脂肪食(外国人データ)12),13)
健康成人男性12例にウプトラビ®0.4mgを空腹時及び食後に単回経口投与したとき、空腹投与時と比較して、セレキシパグのCmaxは35%低下し、AUC0-∞は10%増大した。MRE-269のCmaxは48%、AUC0-∞は27%低下した。
4高齢者 10)
健康高齢男性6例(65~74歳)にウプトラビ®0.2mgを空腹時に単回経口投与したとき、セレキシパグのCmaxは5.71±1.09ng/mL、AUC0-∞は11.5±2.0ng·hr/mLであり、健康若年男性6例(20~26歳)と比較してセレキシパグのCmaxは15%、AUC0-∞は19%低下した。また、MRE-269のCmaxは34%、AUC0-∞は37%低下した。健康高齢男性6例(65~74歳)及び健康若年男性6例(21~29歳)にウプトラビ®0.4mgを1日2回10日間食後経口投与したとき、血漿中セレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータは下表の通りであった。
健康若年男性及び高齢男性にウプトラビ®0.2mgを空腹時に単回経口投与したときの
セレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータ
Cmax (ng/mL) |
tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
AUC0-∞ (ng・hr/mL) |
||
---|---|---|---|---|---|
セレキシパグ | 若年男性 | 7.14±3.53 | 1.00 (1.00,1.50) | 0.917±0.156 | 15.5±8.7 |
高齢男性 | 5.71±1.09 | 1.00 (1.00,1.50) | 0.875±0.117 | 11.5±2.0 | |
MRE-269 | 若年男性 | 9.05±5.23 | 3.00 (2.50,3.00) | 8.68±1.11 | 54.1±27.7 |
高齢男性 | 5.44±0.90 | 2.50 (2.50,3.00) | 6.73±2.06 | 32.1±7.2 |
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(最小値,最大値)、n=6
健康若年男性及び高齢男性にウプトラビ®0.4mgを1日2回食後に反復経口投与したときの
セレキシパグ及びMRE-269の血漿中濃度推移
※左右のグラフで横軸のスケールが異なりますので、ご注意ください。
6.用法及び用量
通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投与から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。
なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投与する。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)
9.8 高齢者
一般に、生理機能が低下していることが多い。[16.6.3参照]
健康若年男性及び高齢男性にウプトラビ®0.4mgを1日2回食後に反復経口投与したときの
セレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータ
Cmax (ng/mL) |
tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
AUC0-∞ (ng・hr/mL) |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
セレキシパグ | 若年男性 | 1日目 | 8.55±1.33 | 1.50 (1.50,2.00) | 1.03±0.26 | 18.8±2.9 |
10日目 | 8.71±0.79 | 1.50 (1.00,1.50) | 1.38±0.62 | 17.6±3.5 | ||
高齢男性 | 1日目 | 7.75±1.59 | 1.25 (1.00,3.00) | 0.971±0.271 | 20.6±7.0 | |
10日目 | 7.17±3.21 | 1.75 (1.00,5.50) | 1.01±0.20 | 18.1±7.4 | ||
MRE-269 | 若年男性 | 1日目 | 7.40±1.23 | 3.50 (2.00,5.00) | 7.84±2.43 | 45.7±8.9 |
10日目 | 10.2±1.6 | 2.75 (2.00,4.00) | 11.2±4.0 | 80.1±13.9 | ||
高齢男性 | 1日目 | 7.79±2.32 | 3.50 (2.00,5.00) | 6.88±1.24 | 55.2±23.4 | |
10日目 | 8.65±1.61 | 4.00 (3.00,5.00) | 12.3±6.2 | 72.8±21.5 |
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(最小値,最大値)、n=6
5肝障害患者(外国人データ、シミュレーションデータ)14),15)
軽度の肝障害患者8例(Child-Pughスコア:5~6)、中等度の肝障害患者8例(Child-Pughスコア: 7~9)及び重度の肝障害患者2例(Child-Pughスコア:10~15)並びに健康成人8例にウプトラビ®0.2~0.4mgを単回経口投与したところ、軽度の肝障害患者及び健康成人におけるセレキシパグのCmaxは3.87ng/mL及び1.92ng/mL、AUC0-∞は10.92ng·hr/mL及び5.26ng·hr/mL とそれぞれ2倍に増加した。MRE-269のCmaxは4.53ng/mL及び3.84ng/mL、AUC0-∞は 29.62ng·hr/mL及び25.33ng·hr/mLとそれぞれ1.2倍の増加にとどまった。また、セレキシパ グの血漿中非結合型分率は0.55%及び0.56%、MRE-269の血漿中非結合型分率は0.63%及び0.64%であった。
中等度の肝障害患者では健康成人と比較して、セレキシパグのCmaxは5.36ng/mLと2倍以上、 AUC0-∞は23.46ng·hr/mLと4倍以上に増加した。MRE-269のCmaxは5.26ng/mLと大きな相違はなく、AUC0-∞は56.11ng·hr/mLと2倍以上に増加した。またセレキシパグ及びMRE-269 の血漿中非結合型分率は0.70%及び0.86%とそれぞれ1.3倍に増加した。
重度の肝障害患者は、セレキシパグのCmaxは2.20ng/mLであった。MRE-269のCmaxは 2.35ng/mL、AUC0-∞は36.88ng·hr/mLであった。セレキシパグ及びMRE-269の血漿中非結 合型分率は1.00%及び1.03%と2倍に増加した。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)(抜粋)
2.2 重度の肝障害患者[9.3.1、16.6.2参照]
6. 用法及び用量
通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投与から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。
なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投与する。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.5 中等度の肝障害患者には、1日1回に減量して投与を開始し、投与間隔や増量間隔の延長、最高用量の減量を考慮すること。[9.3.2、16.6.2参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝障害患者(Child-Pughスコア:10~15)
投与しないこと。本剤の血中濃度が著しく上昇するおそれがある。[2.2、16.6.2参照]
9.3.2 軽度又は中等度の肝障害患者(Child-Pughスコア:5~9)
本剤の血中濃度が上昇する。[7.5、16.6.2参照]
9.8 高齢者
一般に、生理機能が低下していることが多い。[16.6.3参照]
また、本試験におけるセレキシパグ及びMRE-269の血漿中濃度データを用いて、中等度肝障害患者にウプトラビ®0.4mgを1日1回5日間反復投与した場合と、健康成人にウプトラビ®0.4mgを1日2回5日間反復投与した場合の定常状態でのセレキシパグ及びMRE-269のCmax及びAUC96-120hrをシミュレーションにより予測した。その結果、中等度肝障害患者では定常状態でのセレキシパグのCmax及びAUC96-120hrは5.06ng/mL及び24.8ng·hr/mLと、健康成人の1.89ng/mL及び10.8ng·hr/mLと比較してそれぞれ約3及び2倍であったが、MRE-269のCmax及びAUC96-120hrは中等度肝障害患者で3.89ng/mL及び52.7ng·hr/mL、健康成人で3.17ng/mL及び48.6ng·hr/mLであった。
肝障害患者及び健康成人にウプトラビ®を単回経口投与したときの
セレキシパグ及びMRE-269の血漿中濃度推移(外国人データ)
※左右のグラフで横軸のスケールが異なりますので、ご注意ください。
肝障害患者及び健康成人にウプトラビ®を単回経口投与したときの
セレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータ(外国人データ)
投与量 (mg) |
n | セレキシパグ | MRE-269 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Cmax (ng/mL) |
t1/2 (hr) |
AUC0-∞ (ng・hr/mL) |
Cmax (ng/mL) |
t1/2 (hr) |
AUC0-∞ (ng・hr/mL) |
|||
軽度 肝障害患者 |
0.4 | 8 | 3.9 2.8~5.3 |
1.6 1.3~2.1 |
10.9 8.6~13.8 |
4.5 3.1~6.7 |
6.5 4.9~8.6 |
29.6 20.6~42.6 |
中等度 肝障害患者 |
0.4 | 8 | 5.4 3.9~7.3 |
2.2 1.6~3.0 |
23.5 17.0~32.4 |
5.3 4.6~6.0 |
15.9 10.1~25.0 |
56.1 42.8~73.5 |
重度 肝障害患者 |
0.2 | 2 | 2.2 NA |
1.43a | 7.91a | 2.3 NA |
7.3 NA |
36.9 NA |
健康成人 | 0.4 | 8 | 1.9 1.5~2.4 |
1.1 0.8~1.4 |
5.3 4.5~6.2 |
3.8 3.0~5.0 |
12.6 9.1~17.5 |
25.3 21.9~29.3 |
上段 : 幾何平均値、 下段: 95%信頼区間、 NA : 評価不能、 a : 1例
中等度肝障害患者に1日1回及び健康成人に1日2回ウプトラビ®を5日間反復経口投与した
ときの定常状態におけるセレキシパグ及びMRE-269のCmax及びAUC96-120hrの予測値(シミュレーションデータ)
投与量 (mg) |
n | Cmax (ng/mL) |
AUCC96-120hr (ng・hr/mL) |
||
---|---|---|---|---|---|
中等度肝障害患者 | 0.4 (1回/日) |
8 | セレキシパグ | 5.06(3.57~7.16) | 24.8(18.2~33.7) |
MRE-269 | 3.89(3.47~4.37) | 52.7(40.3~68.8) | |||
健康成人 | 0.4 (2回/日) |
8 | セレキシパグ | 1.89(1.48~2.42) | 10.8( 9.1~12.8) |
MRE-269 | 3.17(2.54~3.95) | 48.6(41.6~56.8) |
幾何平均値(95%信頼区間)
6重度腎障害患者(外国人データ)14) ,16)
重度の腎障害患者8例(糸球体濾過率:15~29mL/min/1.73m2)及び健康成人8例にウプトラビ®0.4mgを単回経口投与したとき、重度の腎障害患者では、セレキシパグのCmax及びAUC0-∞は5.35ng/mL及び17.1ng・hr/mL、健康成人の3.07ng/mL及び9.86ng・hr/mLと比較して1.7倍に、MRE-269のCmaxは7.31ng/mLと健康成人の5.12ng/mLと比較して1.4倍、AUC0-∞は 70.6ng・hr/mLと健康成人の43.7ng・hr/mLと比較して1.6倍に増加した。また、セレキシパグ 及びMRE-269の血漿中非結合型分率は重度の腎障害患者で0.12%及び0.17%であり、健康 成人で0.17%及び0.17%であった。
重度腎障害患者及び健康成人にウプトラビ®0.4mgを単回経口投与したときの
セレキシパグ及びMRE-269の血漿中濃度推移(外国人データ)
※左右のグラフで横軸のスケールが異なりますので、ご注意ください。
重度腎障害患者及び健康成人にウプトラビ®0.4mgを単回経口投与したときの
セレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータ(外国人データ)
Cmax (ng/mL) |
t1/2 (hr) |
AUC0-∞ (ng・hr/mL) |
||
---|---|---|---|---|
セレキシパグ | 重度腎障害患者 | 5.35(8/0) 3.87~7.40 |
1.03(7/1) 0.71~1.51 |
17.1(7/1) 13.4~21.6 |
健康成人 | 3.07(8/0) 2.11~4.48 |
1.36(6/2) 0.84~2.22 |
9.86(6/2) 7.36~13.22 |
|
MRE-269 | 重度腎障害患者 | 7.31(8/0) 6.12~8.73 |
13.4(4/4) 7.1~25.4 |
70.6(4/4) 29.3~170.3 |
健康成人 | 5.12(8/0) 3.17~8.25 |
8.34(5/3) 7.01~9.91 |
43.7(5/3) 14.6~131.1 |
上段:幾何平均値(n/欠測値)、下段:95%信頼区間
6. 用法及び用量
通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投与から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。
なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投与する。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害(糸球体濾過率:15~29mL/min/1.73m2)のある患者(透析中の患者を含む)
本剤の血中濃度が上昇することが認められている。また、透析中の患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[16.6.1参照]
7薬物相互作用
(1)in vitro試験 17), 18)
セレキシパグ及びMRE-269は、OATP1B1及びOATP1B3の基質であることが示された。
また、セレキシパグはP糖タンパク、MRE-269はBCRPの基質であることが示された。
(2)クロピドグレル(外国人データ)19)
健康成人男性22例にセレキシパグ0.2mgを1日2回10日間経口投与し、CYP2C8の阻害作用を有するクロピドグレルを投与4日目に300mg(n=21)、投与5日目から10日目に75mg(n=20)を経口投与したとき、単独投与と比較して、セレキシパグのCmax及びAUC0-12は、投与4日目では1.3倍及び1.4倍に増加し、投与10日目では0.98倍及び1.1倍であった。同様に、MRE-269のCmax及びAUC0-12は、投与4日目では1.7倍及び2.2倍、投与10日目では1.9倍及び2.7倍に増加した。
(3)ゲムフィブロジル(外国人データ)20)
健康成人男性20例に強いCYP2C8の阻害剤であるゲムフィブロジル(国内未承認)600mgを1日2回9日間経口投与し、投与4日目にウプトラビ®0.4mgを単回経口投与したとき、単独投与と比較して、セレキシパグのCmaxは1.4倍、AUC0-∞は2.0倍に増加した。MRE-269のCmaxは3.6倍、AUC0-∞は11倍に増加した。
(4)ワルファリン(外国人データ)21),22)
健康成人男性17例にウプトラビ®0.4mgを1日2回12日間経口投与し、投与8日目にワルファリン20mgを経口投与したとき、セレキシパグ及びMRE-269の薬物動態に及ぼすワルファリンの影響は認められなかった。ワルファリンの薬物動態に及ぼすセレキシパグの影響は認められなかった。
(5)ロピナビル・リトナビル(外国人データ)23),24)
健康成人男性20例にロピナビル・リトナビル配合錠400mg/100mgを1日2回12日間経口投与し、投与10日目にウプトラビ®0.4mgを単回経口投与したとき、単独投与と比較して、セレキシパグのCmaxは2.07倍、AUC0-∞は2.24倍に増加した。MRE-269のCmaxは1.33倍、AUC0-∞は1.08倍に増加した。
(6)リファンビシン(外国人データ)20)
健康成人男性19例にCYP2C8の誘導剤であるリファンピシン600mgを1日1回9日間経口投与し、投与7日目にウプトラビ®0.4mgを単回経口投与したとき、単独投与と比較して、セレキシパグのCmaxは1.8倍、AUC0-∞は1.3倍に増加した。MRE-269のCmaxは1.3倍に増加し、AUC0-∞は0.52倍に減少した。
吸収(外国人データ)25) ,26)
健康成人男性15例にウプトラビ®0.2mgを空腹時に単回静脈内投与したとき、セレキシパグの全身クリアランス及び定常状態の分布容積の幾何平均値は、それぞれ17.93(95%信頼区間:14.95~21.50)L/hr及び11.73(95%信頼区間:10.55~13.04)Lであった。また、ウプトラビ0.4mgを空腹時に単回経口投与したとき、セレキシパグの絶対バイオアベイラビリティは49.4%(90%信頼区間:42.6%~57.2%)であった。
分布
1タンパク結合試験 (in vitro) 27)
14C-セレキシパグ及び14C-MRE-269のヒト血清タンパク結合率は、0.1~1μg/mLの範囲でいずれも98~99%であった。
2組織分布(ラット)27)
ラットに14C-セレキシパグを1mg/kgの用量で単回経口投与した後の放射能は全身に分布し、投与後1時間にほとんどの組織で最高濃度に達した。組織摘出法では、肝臓、小腸、胃、腎臓、肺の順番で組織中濃度が高かった。その他のほとんどの組織では、血漿より濃度が低かった。
3血液─胎盤関門通過性(ラット)28)
妊娠ラットに14C-セレキシパグを1mg/kgの用量で単回経口投与したとき、投与後1時間の胎児中の放射能濃度は母動物血漿中放射能濃度の約8%で、投与後24時間では定量下限未満であった。一方、母動物血漿中では投与後24時間でも放射能が検出された。14C-セレキシパグ投与後の放射能の一部は胎盤を通過することが示された。
4乳汁への移行性(ラット)28)
哺育中の雌性ラットに14C-セレキシパグを1 mg/kgの用量で単回経口投与したとき、乳汁中放射能濃度は投与後4.3 ± 3.5 時間にCmax 226 ± 140 ng eq./mLに達し、48時間以降は検出限界未満となり、t1/2は7.3 時間であった。同時に測定した血漿中放射能濃度は投与後0.83 ± 0.29 時間にCmax 167 ± 71 ng eq./mLに達し、t1/2は7.1 ± 1.6 時間であった。
代謝 (in vitro) 29)
セレキシパグは、主に生体内でカルボン酸アミド部位が加水分解され、活性代謝物MRE-269を生成した。MRE-269はその後複数種の酸化的代謝物やアシルグルクロン酸抱合体に代謝された。
加水分解にはカルボキシルエステラーゼ1(CES1)が、酸化的代謝にはCYP2C8及びCYP3A4が、グルクロン酸抱合にはUGT1A3及びUGT2B7が主として関与していた。