肺動脈性肺高血圧症
海外第Ⅲ相試験
(オープンラベル継続投与試験,海外データ)2)
海外第Ⅲ相試験には承認外の用法及び用量が含まれていますが、承認時評価資料であることからデータを記載しています。
6. 用法及び用量 通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投与から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。 なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投与する。
試験方法
目 的 | プラセボ対照二重盲検比較試験に続くオープンラベル継続投与試験として、肺動脈性肺高血圧症患者におけるウプトラビ®の長期的安全性及び忍容性を評価する。 |
対 象 | 肺動脈性肺高血圧症患者218例(安全性解析対象例数) |
選択基準
以下のいずれかを満たす患者
- プラセボ対照二重盲検比較試験を完了した患者
- プラセボ対照二重盲検比較試験中にイベント評価委員会により確認されたmorbidityイベントが発現した患者a
- プラセボ対照二重盲検比較試験の延長投与期間中に肺動脈性肺高血圧症の悪化が発現した患者及び治験依頼者からこの試験への登録許可が与えられた患者
- a:カナダ、フランス、オランダ、韓国、及び英国では、プラセボ対照二重盲検比較試験の治験薬の盲検解除まで治験薬が投与され、かつ延長投与期の終了まで治験薬が投与されていた患者に限られた
投与方法
プラセボ対照二重盲検比較試験での投与群に関わらず、ウプトラビ®0.2mg 1日2回投与から 開始し、1週間に0.2mg/回ずつ漸増し、投与12週目までに最大耐用量(最大1.6mg 1日2回)と なるよう調整した。その後、最大耐用量にて投与を継続した。
評価項目
安全性
- 投与中止3日後までに発現した有害事象/重篤な有害事象
- 治験薬の投与中止に至った有害事象 等
利益相反
本試験はActelion Pharmaceuticals Ltd.により行われた。
患者背景
プラセボ対照二重盲検比較試験のスクリーニング時における人口統計学的特性及びベースライン時における疾患特性-安全性解析対象集団-
ウプトラビ®→ウプトラビ® 群 (N=63) |
プラセボ→ ウプトラビ® 群 (N=155) |
合計 (N=218) |
||
---|---|---|---|---|
性別 | 男性 | 10 (15.9%) | 27 (17.4%) | 37 (17.0%) |
女性 | 53 (84.1%) | 128 (82.6%) | 181 (83.0%) | |
年齢(歳) | 全体 | 44.0±15.2 | 45.6±16.6 | 45.1±16.1 |
<65歳 | 56 (88.9%) | 130 (83.9%) | 186 (85.3%) | |
65~74歳 | 6 (9.5%) | 24 (15.5%) | 30 (13.8%) | |
≧75歳 | 1 (1.6%) | 1 (0.6%) | 2 (0.9%) | |
体重(kg) | 69.1±21.4 | 69.9±17.4 | 69.7±18.6 | |
BMI(kg/m2) | 25.9±6.6 | 26.3±5.9 | 26.2±6.1 | |
PAH診断aからの期間(年) | 1.4±1.8 | 1.5±2.8 | 1.4±2.6 | |
PAH疾患分類 | 特発性PAH | 42 (66.7%) | 100 (64.5%) | 142 (65.1%) |
遺伝性PAH | 1 (1.6%) | 1 (0.6%) | 2 (0.9%) | |
薬物・毒物誘発性PAH | 0 | 2 (1.3%) | 2 (0.9%) | |
結合組織病に伴うPAH | 18 (28.6%) | 44 (28.4%) | 62 (28.4%) | |
先天性心疾患に伴うPAH | 2 (3.2%) | 8 (5.2%) | 10 (4.6%) | |
NYHA/WHO機能 分類クラス |
Ⅰ | 0 | 2 (1.3%) | 2 (0.9%) |
Ⅱ | 26 (41.3%) | 49 (31.6%) | 75 (34.4%) | |
Ⅲ | 36 (57.1%) | 100 (64.5%) | 136 (62.4%) | |
Ⅳ | 1 (1.6%) | 4 (2.6%) | 5 (2.3%) | |
6分間歩行距離(m) | 349.5±76.9 | 334.8±83.4 | 339.1±81.6 |
a :肺血行動態より確定
例数(%)もしくは平均値±標準偏差
投与期間・維持用量
オープンラベル継続投与試験におけるウプトラビ®の投与期間の中央値は37.2週間(範囲:0.9~160.0週間)であり、1年以上ウプトラビ®が投与された患者は34.4%であった。
投与期間-安全性解析対象集団-
ウプトラビ® 群(N=218) | ||
---|---|---|
投与期間(週) | 中央値 | 37.2 |
最小値, 最大値 | 0.9,160.0 | |
累積投与期間別分布 | 8週以上 | 192(88.1%) |
16週以上 | 158(72.5%) | |
26週以上 | 135(61.9%) | |
52週以上 | 75(34.4%) | |
78週以上 | 48(22.0%) | |
104週以上 | 24(11.0%) | |
130週以上 | 9(4.1%) | |
156週以上 | 2(0.9%) |
例数(%)
- 投与期間 :オープンラベル継続投与試験の投与開始から最終投与(又はデータカットオフ)までの期間
ウプトラビ®の維持用量-安全性解析対象集団-
1日2回投与の1回用量 | ウプトラビ® 群(N=218) | |
---|---|---|
維持用量別分布 | 0mg | 3(1.4%) |
0.2mg | 20(9.2%) | |
0.4mg | 26(11.9%) | |
0.6mg | 23(10.6%) | |
0.8mg | 21(9.6%) | |
1.0mg | 21(9.6%) | |
1.2mg | 21(9.6%) | |
1.4mg | 23(10.6%) | |
1.6mg | 58(26.6%) | |
プロトコールの用量規定以外 | 2(0.9%) |
例数(%)
- 維持用量 :オープンラベル継続投与試験期間中で最も長く投与された用量。
ただし、治験薬の最終投与が12週目より前の患者は、投与中止又は漸増に至らなかった最高用量(0.2mg投与時に中止に至った場合は0mg)とした。
6. 用法及び用量 通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投与から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。 なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投与する。
評価項目
投与中止3日後までに発現した有害事象/重篤な有害事象
投与中止3日後までに発現した有害事象の発現率は95.9%(209/218例)であった。
重篤な有害事象は114例(52.3%)に発現し、高頻度(10%以上)に発現した重篤な有害事象は肺動脈性肺高血圧症51例(23.4%)、右室不全33例(15.1%)であった。
治験薬の投与中止に至った有害事象
中止に至った有害事象は52/218例(23.9%)に発現した。
中止に至った主な有害事象は、肺動脈性肺高血圧症19例(8.7%)及び右室不全10例(4.6%)であった。
安全性
副作用
副作用の発現率は、80.3%(175/218例)であった。
発現率10%以上の副作用
事象名 | 例数 | 発現率 |
---|---|---|
頭痛 | 115 | 52.8% |
下痢 | 62 | 28.4% |
事象名 | 例数 | 発現率 |
---|---|---|
顎痛 | 45 | 20.6% |
悪心 | 35 | 16.1% |
発現率10%以上の事象を抜粋
重篤な副作用(死亡を除く)は、7例(3.2%)に認められた。
重篤な副作用(死亡を除く)
事象名 | 例数 | 発現率 |
---|---|---|
下痢 | 3 | 1.4% |
右室不全、低蛋白血症、尿細管間質性腎炎、白血球減少症、腹痛、嘔吐 | 各1 | 0.5% |
投与中止に至った副作用(死亡を除く)は、11例(5.0%)に認められた。
投与中止に至った副作用(死亡を除く)
事象名 | 例数 | 発現率 |
---|---|---|
下痢、頭痛 | 各3 | 1.4% |
四肢痛 | 2 | 0.9% |
悪心、右室不全、顎痛、肺動脈性肺高血圧症、浮動性めまい、末梢性浮腫、嘔吐 | 各1 | 0.5% |
副作用としての死亡は、ウプトラビ®群1例で認められ、死因は血液量減少性ショックと肺動脈性肺高血圧症であった。
死亡に至った重篤な副作用の発現状況
年齢、性別 | 投与量a | 副作用 | 発現日b | 程度 | 重篤/非重篤 | 治験薬の処置 |
---|---|---|---|---|---|---|
27歳女性 | 0mg/回 | 血液量減少性ショック | 33日 | 高度 | 重篤 | - |
肺動脈性肺高血圧症 | 33日 | 高度 | 重篤 | - |
- a :副作用発現時のウプトラビ®投与量。1.0mg/回で32日まで投与後中止し、中止後1日目に発現
- b:ウプトラビ®の投与開始から副作用が発現するまでの日数
- MedDRA ver. 16.0