エクソンマップと蛋白質ドメイン

エクソンマップ

図1 ジストロフィンmRNAのエクソンマップ 1)

ジストロフィンmRNAのエクソンマップ ジストロフィンmRNAのエクソンマップ

ビルテプソ®の対象となる遺伝子変異型(エクソン欠失パターン)について

遺伝子検査(MLPA法、シーケンス解析など)により、エクソン53をスキップすることで治療可能なジストロフィン遺伝子変異型(エクソン欠失パターン)であることが確認されていることが必須です(「ビルテプソ®投与対象患者のエクソン欠失パターン」参照)。

ビルテプソ®の対象となる遺伝子変異型 エクソン43-52、45-52、47-52、48-52、49-52、50-52、52欠失等

エクソンマップの見方

エクソン1とエクソン79には非翻訳領域(UTR:グレー)が含まれています。エクソン1にある開始コドンから、エクソン79にある終止コドンまでの領域をオレンジで示しており、この領域からジストロフィンタンパク質へ翻訳されます。各エクソンの下側にはそのエクソンの塩基数を掲載しています。図形の左端が5’側、右側が3’側です。マップの下側にエクソンの形について凡例を示しています。エクソンの形は、そのエクソンの塩基数が3の倍数であるか否かに準じて3分類しており、さらにそれぞれを3パターンの形で表記し、計9種類を掲載しています。

エクソンとエクソンのつなぎ目のコドン形成状況の見方

例えば、エクソン52の左端はまっすぐです。これは、エクソン51の最後の塩基までで、キリよくコドンが形成されており、エクソン52の1塩基目から次のコドンを形成していることを意味します。また、エクソン52の塩基数は118塩基であるため、3の倍数プラス1塩基で構成されています。つまり、エクソン52の右端はまっすぐではなく、エクソン52の最後の1塩基は、エクソン53の最初の2塩基とコドンを形成しています。
2つ目の例をあげますと、エクソン65の最初の2塩基は、エクソン64の最後の1塩基とコドンを形成します。これはエクソン61の塩基数が79塩基で構成されており、3の倍数プラス1塩基のためです。エクソン61の5’側はまっすぐで、1塩基目からコドンが形成されます。一方、3’側は1塩基余ります。エクソン62-64の合計塩基数は3の倍数ですので、余る塩基はありません。従って、エクソン65の最初の2塩基は、エクソン61の塩基数に依存して、エクソン64の最後の1塩基とコドンを形成することになります。次に、エクソン65の3’側のコドン形成状況は、5‘側が2塩基消費されていますので、残り200塩基で考える必要があります。3の倍数になるためには1塩基足りません。したがって、エクソン65の最後2塩基とエクソン66の1塩基目がコドンを形成することとなります。

ジストロフィン蛋白質ドメイン

図2 エクソンと蛋白質ドメインの位置関係 1,2)

クソンと蛋白質ドメインの位置関係 クソンと蛋白質ドメインの位置関係

ジストロフィン蛋白質ドメインの見方

ジストロフィンタンパク質は筋細胞膜を保護する裏打ちタンパク質としての役割を担っています(「ジストロフィンタンパク質の役割」参照)。図2の上側には、ジストロフィンmRNAのエクソン1から79までをオレンジの箱で示しています。その下側にはジストロフィンタンパク質のドメインを描いており、各エクソンがコードするドメインを対応させて示しています。ジストロフィンタンパク質は、NTD、CTD、CRDの大きなドメインと、4つのヒンジドメイン(H1~H4)、中央部分の分断構造(I)、そして、24個からなるスペクトリン様繰り返し構造(SRs)から構成されています。SRsは、αヘリックス構造が3つ折の束として構成されています。アミノ酸配列は全く異なりますが、この3つ折構造の束が繰り返し存在しており、24個含まれています。この3つ折構造が折り畳まれたり解除されたりすることでジストロフィンタンパク質が伸び縮みし、筋細胞の収縮・伸長に対応しています。この構造は剛直ですが、柔軟性を持たせる役割を果たしているのがヒンジドメインです。
エクソンとドメインとの照らし合わせの見方ですが、例えば、ジストロフィンタンパク質のNTDは、エクソン1の末尾からエクソン8の中央部分が該当しますし、CTDはエクソン70からエクソン79の先頭部分が該当します。
ビルテプソ®が対象とするエクソン欠失型に対してビルテプソ®によりエクソン53をスキップさせた場合の対応する欠損ドメインについて、以下の表に示します。

エクソン欠失領域 エクソン欠失領域(エクソン53含む)に対応する欠損ドメイン領域
エクソン43-52欠失型 R16中央、R17、R18、R19、H3、R20、R21先頭
エクソン45-52欠失型 R17中央、R18、R19、H3、R20、R21先頭
エクソン47-52欠失型 R18中央、R19、H3、R20、R21先頭
エクソン48-52欠失型 R18末尾、R19、H3、R20、R21先頭
エクソン49-42欠失型 R19中央、H3、R20、R21先頭
エクソン50-52欠失型 R19末尾、H3、R20、R21先頭
エクソン52欠失型 R20中央、R21先頭

エクソン欠失型によって欠損ドメイン領域も上記のように異なるため、産生するトランケート型ジストロフィンタンパク質の長さも異なります。これらトランケート型ジストロフィンタンパク質は、両末端が保持されており、長さが正常よりも短いですが機能すると考えられています。

引用文献

  1. 1) 塩基配列情報(2020/6/8) : NCBI Nucleotide code NM_004006
  2. 2) Wein N, et al.: Journal of Neuromuscular Diseases. 2017; 4: 199–207.
  3. 3) Ramos JN, et al.: Mol Ther. 2019; 27: 623-635.
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